ブロックチェーンを利用する際には、暗号資産(仮想通貨)とdApp(分散型アプリケーション)と対話するためのデジタルウォレットが必要になるのですが、今回はこのウォレットが抱えるガス代やアカウントの復元などの問題を解消するウォレットをご紹介します。
ガスとは、ブロックチェーン利用時の取引履歴をブロックチェーン上に記録する際に必要となる手数料のことです。ブロックチェーンは集権的にネットワークを管理しているわけではなく、世界中の不特定多数のノードでネットワークを分散管理しています。ですので、ネットワークを維持するためにはインセンティブとなる報酬が必要とされています。つまりガス代とは、運営側に支払っているものではなく、ネットワーク管理を行っている不特定多数のノードに支払っている手数料ということです。
しかし、このガス代の負担がブロックチェーンをマスアダプトさせる上での一つの障壁として考えられているので、このガス代の負担をウォレット側で処理をし、ユーザーはガスコストを意識することなくdAppを利用することができるウォレットが最近出てきました。
今回ご紹介するDapperもそんなガス代不要のWallet(コントラクトウォレットと呼びます)の一つです。
Dapperとは?分散化されているけれど、便利で使いやすいウォレット
ウォレットのタイプにはどのようなものがあるのか?
ブロックチェーンにアクセスためのウォレットは、どれでも同じというわけではありません。現在リリースされているウォレットは大きく2つのタイプに分けることができ、一つは分散化されたウォレット、もう一方は集権的なウォレット。
それぞれどのような特徴があるのかというと、分散型ウォレットは完全に資産の管理を自身で行うことができるウォレットです。ブロックチェーンを用いる上で望ましい形ではあるのですが、自身で全て管理しなければならないので、秘密鍵と呼ばれるブロックチェーンへアクセスするためのパスを自己管理しなければなりません。また仮に秘密鍵を紛失した場合は、復元することができないため、一般ユーザーへの普及が難しいと考えられています。
もう一方の集権型ウォレットは、これまでのサービスと同じで特定の組織がウォレットの管理を行っていますので、利便性が高く、一般ユーザーでも利用しやすいものが多い印象です。しかし、資産の管理を特定の組織に管理されているため、場合によっては資産を凍結させられる可能性や間接費など集権管理が抱える弊害もあるということは覚えておいてください。
Dapperは上記2タイプの問題を解消するために誕生したウォレット
ブロックチェーンがマスアダプトするには、ウォレットの利便性、使いやすいさは必須だと考えています。しかし、その為に分散化を犠牲にするべき否かという点に関しては潜在的なリスクもある為、できる限り分散化されている方が望ましいですね。
今回ご紹介するDapperは、使いやすさとセキュリティの高さの両方の長所を兼ね備えています。どこまでをユーザーに託し、どこからをDapper側が管理をするのかがポイントになりますが、セキュリティ面に関してはDapperのスマートコントラクトを用いることで、ユーザーの資産制御を奪わないような工夫が凝らされています。一方で、利便性を失わないように、アカウントの復元性やマルチデバイスサポート(近日公開予定)などの便利な機能も兼ね備えています。
Dapperのスマートコントラクト機能は、Dapperが取引時の共同署名者として機能している為、怪しいアドレスへの大量送金や、特定の地域(反社会勢力)での活動などの異常な活動を監視し、確認の前にチェックインできるようになっているようです。また、「レスキューキット(お助けキット)」と呼ばれるツールを用いて、キーやデバイスを紛失した場合でもアカウントへのアクセスを回復させることができます。
Dapperの一番のポイントは、Dapperはあくまでもユーザーなしでユーザーの資産にアクセスすることはできないということです。つまり、Dapperはユーザーの資産が不正に出てしまうことを防ぐことはできるが、勝手に移動させることはできないということです。
完全に資産を自己管理できるウォレットというわけではありませんが、利便性とセキュリティのバランスを踏まえると、第3の選択肢となりうるウォレットなのではないでしょうか。
2019年4月現在、Dapperは早期アクセス要求ができるようになっています。公式サイトにてメールアドレスを登録することで、早期アクセス者リストに参加可能です。
現在利用可能なブラウザ環境はChromeのみです。Android、iOSについては後日リリース予定。