DeFiプロトコルを集約して使いやすいインターフェイスを提供するZerionの概要
DEX(分散型取引所)は、その使い勝手の悪さが参入障壁となり集権化された取引所と比較すると利用者が少ないというのが現状です。集権化された取引所と比較した際に問題とされていたことの一つに、個人が各々のDeFiプロダクトと対話する必要があったということが挙げられます。この点を解消するためにInstaDappやZerionなどDeFiプロトコル用のインターフェイスを提供する製品の開発が進められています。今回はそのうちの一つであるZerionの特徴を概観していきます。
Zerion公式サイト:https://zerion.io/en
InstaDapp:https://instadapp.io/
DeFiとは?という方は下の記事をご参照ください。
Zerion|DeFiプロトコルをより使いやすく
Zerionとは、複数のDeFiプロトコルを一元管理したインターフェイスを提供するサービスです。例えば、暗号通貨トレードの際には0xプロトコル、Kyberの流動性プールプロトコルを用いており、暗号通貨を借りる際にはDharmaやCompound、投資向けにはインデックスを提供するSet Protocol、資産管理にはMelonPort、貯蓄向けにProof of Stake poolingに参加し、DAIの流動性提供により利息が得られるようになっています。つまりこれまで個別に対話する必要のあった各DeFiプロトコルをZerion内だけで利用することができるということです。
またZerionの利用にはMetamaskなどWalletで接続することも可能ですが、このWalletを持つという点もDeFi利用時の障壁として考えられています。この点に関してもZerionはFotmaticというサービスを利用することで、電話番号でアクセスしてサービスを利用可能にしています。(下画像参照)
また将来的には、新たにレンディングプラットフォームdydxの統合も検討しており、これが実現すればマージントレード(証拠金取引)も可能になりますし、それとは別に法定通貨の入り口になるような計画もあるようです。
またZerionはこれらプロダクトにアクセスするためのポータルというだけなので、規制当局の承認を必要としないという点もポイントです。銀行のような仕組みを持っていはいるけれども、銀行の免許を必要とはしないということです。
そしてZerionのターゲットは、金融インフラが整っていない地域、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの人々です。2019年6月現在の月間アクティブユーザーは1000人ほどとまだまだという印象ですが、このようなプロジェクトが進展することで誰もが金融インフラにアクセスできる世界が構築されていくのではないでしょうか。