BLOCKPUNKとは、アニメーションやイラストといったデジタルコンテンツをイーサリアムブロックチェーン上に記録し、作品の著作権を保護することを目的としたブロックチェーンプロジェクト。ちなみにPUNKとは「創造の自由」を意味し、ブロックチェーンとP2Pテクノロジーでクリエイターとファンに自由をもたらすことをミッションとして掲げています。
BLOCKPUNKが提供しているサービスはクリエイターとファンをつなぐためのマーケットプレイスです。サイト内でクリエイターが出品したデジタルコンテンツを暗号資産ETH(イーサリアム)で購入し、デジタルコンテンツを所有することができます。※米ドル(クレジットカード)での購入も可能。
今回はBLOCKPUNKとは何なのかを理解するためその特徴(クリエイター、ファン双方にどういう利用メリットがあるのか)についてご案内します。
BlockPunk公式:https://blockpunk.net/jp
BLOCKPUNKとは
クリエイターとファンをつなぐマーケットプレイス
まずBLOCKPUNKとは何なのかというと、一言で言えば「クリエイターとファンをつなぐためのマーケットプレイス」です。(上画像)
マーケットを開くと「Creations/作品」と「Creators/クリエイター」のタブが用意されており、そこから各作品にアクセスできるようになっています。
が、ただそれだけであれば他にも同じようなサービスは他にもあります。既存のサービスとBLOCKPUNKがどう違うのか、その点を理解するために本サービスを利用するクリエイターとファンのメリットについて以下まとめていきます。
クリエイターにどういうメリットがあるのか
メリット①ファンによって再販された場合も収益を得ることができる
BlockPunkでは限定版デジタルコンテンツ(動画、イラスト)を販売することで収益を得ることができます。ポイントとなるのは、「ファンが購入後に再販した場合も一定額が還元される」という点です。
この点をもう少し掘り下げていきます。2019年7月現在BLOCKPUNKでは、初期メンバーに無料でサービスを提供しています。またブロックチェーンを利用する上でかかる取引手数料もBlockPunkが負担しているようです。(クリエイター側)
BlockPunkは作品の販売、再販のうち15%を仲介手数料として受け取り、このマーケットの運営に当てていきますが、ファンによる再販時には上述のBlockPunkが受け取る手数料15%のうち85%をクリエイターに還元するという仕組みのようです。つまり再販価格の12.75%がクリエイターに還元される仕組みです。
②作品の権利はブロックチェーンで保護されている
イーサリアムブロックチェーン上に作品を紐付けて記録することができる(デジタル証明書)ため、自身が作品のクリエイターであることを証明することができます。またファンはあくまでも作品の非営利での利用権を購入しているため、知的財産権や著作権はあくまでもクリエイターに帰属しているという点もポイントですね。
③デジタルコンテンツやトークンを事前販売することで、クラウドファンディング可能
映画監督、動画製作者、イラストレーター、アニメーター、ユーチューバー…といった様々なクリエイターの資金調達手段(トークン、デジタルコンテンツ販売)として、本サービスを利用することが可能です。
ファンのメリット
ファンが得られるメリットについて公式サイトから以下抜粋
- お気に入りのクリエイターから限定版デジタルコンテンツを購入し、収集(動画/生配信のチケット/漫画/イラストなど)
- 購入した作品の再販による収益
- お気に入りのクリエイターの新プロジェクト支援と、限定特典の利用
特に②の「購入した作品の再販による収益」という点は、人の金銭欲求を刺激する仕組みであるため注目すべきポイントです。これまでのような「承認欲求」を訴求するようなものと比較すると強く人の行動に働きかける要素を持っているため、コミュニティの結束力は強くなる傾向があり販売されるデジタルコンテンツやトークンがストックオプションのように働く可能性があります。
BlockPunkの将来性
BlockPunkのシステムは、既存のクリエイター業界などが抱える問題を解決する手段として捉えることもできます。クリエイターが駆け出しの時に製作した作品は、仮に人気が出た場合にその価値が跳ね上がるということがあります。しかし現在の市場の仕組みだと、所有者は得してもクリエイターには何の還元もない。これはつまりクリエイターは自分の手を離れるその時にだけ収益を得ることができるのであって、市場によってつけられた付加価値の恩恵を享受することができないということを意味しています。またデジタルコンテンツのコピーとオリジナルの区別がつくという点も重要な要素です。その意味でBlockPunkはクリエイターの創作活動を支援する強力なツールとして機能する可能性があります。
またファンも作品の価値が高まることで利益を得られるため、デジタルコンテンツがストックオプションのように働くことが影響し、ファンがクリエイターを勝手に宣伝してくれるであろうことが予想されます。
しかし一方で懸念される点もあります。この性質はつまり、作品を投機対象として扱う可能性があるということです。投機とは、つまり経済学者ケインズが指摘した美人投票と同じで「好きなクリエイターの作品を買う」ではなく「みんなが好みそうなクリエイターの作品を買う」という傾向が高まることを意味しています。
これらを踏まえるとBlockPunkはクリエイターの商業的成功をもたらすツールと捉えることができます。「売れるもの」とはみんなが「わかりやすいもの」という傾向にあると思いますが、アート作品の場合は「社会がみえていないものを表現する」という側面をもつ作品もあるため、必ずしもこのシステムにマッチするとは限りません。その意味でBlockPunkは商業デザインのようなデジタルコンテンツが適したプラットフォームとして捉えられるのではないでしょうか。