4月末にTrueBitのメインネットがローンチしました。TrueBitは今までのブロックチェーンでは難しかった、大きなタスクの実行を目的としたプロジェクトです。機械学習やビッグデータなどにも応用できる可能性があり、注目を集めています。
またEthereumの設立者であるヴィタリック氏が自身のツイートやテキストでもTrueBitについて言及しているほか、Coinbase関係者からの後援も受けていることから話題を呼びました。
TrueBitが解決する課題:処理タスクの限界と検証者のジレンマ
イーサリアムにはガス制限というものがあります。これは意図的に負荷をかけて脆弱性をつくDOS攻撃を防止したりするためにも必要な措置でした。しかしガス制限を行うことで大きなタスクを実行するのが難しくなっています。例えば人工知能やビッグデータなどです。
これらの問題を解決するためにTrueBitが登場しました。
TrueBitは巨大なタスクをオフチェーンで実施し、最終的なトランザクション結果のみをブロックチェーンに送信します。
具体的には、下記のような違いがあります。
- 現状:
あるコードがオンチェーンで送信され、10万台のノードすべてがそのコードをオンチェーンで処理して解かなければならない。 - TrueBit:
コードがオフチェーンで送信され、1人だけがそのコードを処理する。その後に一部の人がその結果を検証する。
これによりガス料金を大きく削減し、トランザクション時間も短縮できる見込みです。
またTrueBitはEthereumの「検証者のジレンマ」と呼ばれる問題も同時に解決しようとしています。
現状ブロック生成者には報酬が支払われますが、ブロック検証者には報酬が支払われません。そのため、ノードは提案されたブロックを検証するのではなく、次のブロックのマイニングにリソースを費やすようになり、ネットワーク全体のセキュリティを犠牲にすることになります。
そこでTrueBitは検証作業にゲーム性をもたらすことで、正当な検証者に報酬が支払われるようになりました。
【TrueBit】EthereumとCoinbase関係の豪華なメンバーと支援者たち
TrueBitのホワイトペーパーはJasonTeutsch氏とChristianReitwiessner氏によって執筆されました。
JasonTeutsch氏は元RAND Corporation フェローで数学者であり、Ethereumの設立者であるVitalikButerin氏と論文を共同執筆した経緯もあります。また、ChristianReitwiessner氏はSolidity言語(Ethereum 、BSC 、 ADA にも使用されている)の開発者であり、EthereumのC++のチームリーダーです。
メンバーがブロックチェーン界隈の要人であるだけでなく、TrueBitは主な財政的支援をPolychain Venturesから受けています。Polychain Venturesを創業したのはCoinbaseの最初の従業員であったOlaf Carlson-Weeです。今まではMakerDAOやCompoundなどに投資してきました。
他にもVitalikButerin氏はTrueBitについてTwitterやドキュメントで何度か言及していますし、Coinbaseの創業者であるFred Ehrsamがこのプロジェクトを支援しています。
【TrueBit】トークンエコノミクス
TRUの主な機能は、計算タスクを正しく実行した検証者に報酬を与えることです。以下の図のようなモデルが採用されています。
TRUトークンには価格上昇を安定させるための仕組みが存在しており、トークンの需要増加に応じて新たなトークンが生成される仕組みです。クジラなどによる大幅な価格変動を防ぐ目的でも導入されています。またタスクが実行された際にはトークンがバーンされる仕組みです。
【TrueBit】詳細
Website: https://truebit.io
Medium: https://medium.com/truebit
Twitter:https://twitter.com/Truebitprotocol