デジタル資産として時に数億円以上の価値が付くこともあるNFT。
世界中からNFTが注目されており、今、NFT市場は急成長を遂げています。
調査・コンサルティング会社Verified Market Research(VMR)によるとNFT市場は2022年から2030年にかけて年平均33.7%で成長していくと予測されています。
「NFTの何が凄いのか?」
「NFTに使われるブロックチェーン技術とは?」
そんな疑問に答えるべく、本記事では今話題のNFTについて解説していきます。
ブロックチェーン技術やNFTについて解説
NFTとは?
そもそもNFTとは何でしょうか?
NFTは正式には「Non-Fungible Token」であり、日本語で直訳すると「代替不可能なトークン」という意味です。
「代替不可能なトークン」と言われても、意味は分かりづらいと思います。
簡単に表すと「偽造ができず、所有者の証明が付いているデジタルデータ」ということになります。
NFTではないデジタルデータ、例えばスマホで撮った写真などは偽造が簡単にできてしまいます。
NFTの場合は、複製された場合、データが変わったという事実がすぐに確認できるため偽造ができません。
偽造ができないため、NFTのデジタルデータそれぞれに固有の価値が生まれ、取引できるようになりました。
ブロックチェーンとは?
前述した「偽造ができず、所有者の証明が付いているデジタルデータ」を可能したのがブロックチェーン技術です。
ブロックチェーンはNFTに必須な技術であり、「参加者全員に共有され、変更・削除・改ざんができないデータベース技術」といえます。
参加者同士の監視を行うことで変更・削除・改ざんを防ぎ、デジタル資産に価値が付くようになりました。
仮想通貨の取引が成り立つのも、このブロックチェーン技術のおかげです。
NFT・ブロックチェーン市場の急成長の背景
NFTの始まりは2017年。イーサリアムブロックチェーン上のNFTゲーム「Cryptkitties」が登場しました。
「Cryptkitties」は猫を交配、売買するNFTゲームで、猫によっては約2,000万円で取引されたこともあり、話題になりました。
そしてさらに急成長の契機となったのは、TwitterとSquareのCEOであるジャック・ドーシー氏がオークションに出品した初ツイートのNFT が2021年3月22日、約3億1640万円で落札されたことです。
NFTが売買できるNFTマーケットプレイスとして世界で最も有名な「OpenSea」。
2021年1月におけるOpenseaの月次取引高が約8億円だったのに対し、2021年8月で約1350億円を突破し注目度高さが分かります。
従来はデジタル資産の価値が保証されていなかっため、高額取引は出来ませんでした。
しかし、NFTの登場によりデジタルデータそれぞれに固有の価値が生まれ、高額での売買が可能になりNFT市場は急成長を遂げています。
NFTと暗号資産の共通点や違いを解説
NFTと暗号資産の共通点として、両方ともブロックチェーン技術が用いられている点です。
ブロックチェーンの変更・削除・改ざんができないという特徴は、NFTや暗号資産のデジタルデータの取引を可能にしました。
次に両者の大きな違いは、暗号資産が代替可能(代替性)でありNFTが代替不可能(非代替性)ということです。
代替可能とは個々の単位が交換可能であり、個々それぞれが区別できないということです。
例えば、暗号資産のBTCは約2,100万枚の発行され、同じ価値の通貨が約2,100万枚作られます。
その暗号資産一枚一枚それぞれで通貨の価値は変わらず、他の暗号資産や現金と交換できます。
一方、NFTはデジタルデータそれぞれに固有の価値があり、唯一無二の存在です。
同じようなNFTでも別々に識別され、その価値はそれぞれの売買取引によって決まることも多いです。
NFT | 暗号資産 | |
特徴 | 非代替性 | 代替性 |
イーサリアムでの規格 | ERC721(ERC1155) | ERC20(ERC1155) |
利用例 | NFTアート作品、NFTゲームのアイテムとして利用 | 売買や決算手段として利用 |
ブロックチェーンによってもたらされたNFTの特徴
1.コピー・偽造されない
前述した通り、NFTは「偽造ができず、所有者の証明が付いているデジタルデータ」です。
現物の絵画や宝石などと同じようにコピーができない、唯一無二のデータを作成できます。
2.従来より自由な取引
NFTは、非中央集権的なブロックチェーン上で取引されています。
ある特定の組織や国に依存していないため、取引にする上でそれらにとらわれることはありません。
そのため、ビットコインなどと同様に、所有するNFTを自由に取引することができます。
3.様々な機能の追加
NFTは、様々な機能のプログラムを付与することができます。
実装されている例として、NFTアート取引における、2次流通によって作者にお金が支払われる仕組みなどがあります。
通常、現物の絵画が転売されたとしてもその絵画の作者にお金が流れるということはありません。
しかし、NFTアートなら、転売された時にその売上金の一部を作者に払うような仕組みを作ることができます。
上記はあくまでも一例に過ぎません。
今後、従来では出来なかった革新的な仕組みや機能が生み出される可能性があります。
4.異なるサービス間でも取扱い可能
現在、ほとんどのNFTは「ERC721」という規格で発行されています。
この規格に準じているサービスやマーケットサイトであれば原則どこでも取引ができます。しかし、全てのNFTがこの規格であるとは限らないので注意が必要です。
互換性があるNFTゲーム同士であれば、ある特定のゲームで所有していたNFTを、別のゲームで使用することも可能です。
NFTの購入・販売方法
NFTの購入・販売方法のおおまかな流れやメジャーなNFTマーケットサイトを紹介していきます。
NFTの購入方法の流れ
- NFTは暗号資産で取引されるため、暗号資産取引所で暗号資産を購入する
- 暗号資産ウォレットを作成する
- 暗号資産取引所から暗号資産ウォレットに送金する
- NFTマーケットサイトと暗号資産ウォレットの連携
- NFTマーケットサイトでNFTを購入する
NFTの販売方法の流れ
- NFTマーケットサイトでNFTのアップロード
- 販売価格など必要事項を入力して販売
実際にNFTを購入・販売したいという方は以下の記事でNFTアートの売買を例にして具体的に解説しているので参考にしてみてください
メジャーなNFTマーケットサイト
NFTマーケットサイトとして世界で最も有名なのは「OpenSea」でしょう。
NFTの種類の豊富なので、特に他を使う理由がなければおすすめできるところです。
他のメジャーなNFTマーケットサイトも上げておきます
海外のNFTマーケットサイト
国内のNFTマーケットサイト
現在のNFTの問題点
NFTの価値の減少
NFTは、「所有者の証明が付いているデジタルデータ」というだけで、コピー自体は防ぐことはできません。
それがNFTの価値を減少させてしまう可能性があります。
また、市場に出回っているほとんどのNFT作品は直接ブロックチェーン上にNFT作品のデータが記録されていません。
多くの場合は、画像を参照するためのURLの情報が記録され、そこにNFT作品データが入っています。
もしNFT作品のデータ先のプラットフォームのサービスが終了してまうとNFT作品の消失につながる恐れも否定できません。
マネーロンダリングとして悪用
NFTは、その非中央集権的性質からマネーロンダリングとして利用されてしまう可能性があります。
米財務省外国資産管理局(OFAC)は8月8日、仮想通貨サービス「トルネードキャッシュ」を制裁対象に加えたというニュースがありました。
これは「トルネードキャッシュ」にマネーロンダリングがしやすいような仕組みがあったためです。
今後、NFTサービスにもこのような規制が起こらないとも限りません。
法整備が不十分
現時点では法規制が十分ではありません。
NFTは今までと異なる財産の形であり、所有権や金融規制のルールなど不明瞭な点が多いです。
NFT業界の急な拡大に対して、政府による法整備や事業者によるルール作りが追いついていないのが現状です。
そのため、セキュリティなどまだリスクの高い市場であるので気を付けなければなりません。
NFT・ブロックチェーン市場の今後
現状のNFT市場は、取引価格がかなり高くなってきています。
本来の価値以上の価格がつき、バブル化する懸念も出てきいます。
NFTは今後、それが私たちの日常を変えるほどのポテンシャルを秘めています。
一方で、このまま取引価格が暴騰しバブル崩壊までしてしまった場合、1つのブームとして終わってしまう可能性も否めません。
今後、NFTがどのような立ち位置になるのか、その動向に注目です。
最後に
本記事では今話題のNFTについて解説しました。
NFTには、デジタル資産の価値を創造するという、従来にはない革新的な特徴を持っています。
NFTの解決すべき課題はまだ多いですが、NFT市場は今後も成長していくと予想されます。
ぜひ興味がある方は、NFTに触れてみてください。