DeFi(Decentralized Finance/非中央集権型金融)|ブロックチェーン×金融システム|概要・各プロジェクト紹介

DeFi

DeFi(非中央集権型金融/Decentralized  Finance)

DeFiとはDecentralized FinanceのことでDeFiに近い概念としてOpen Financeというものもあります。日本語だと分散型金融と表現したりしますが厳密にはdistributed(分散型)とDecentralized(非中央集権)は異なる概念なので日本語にするなら非中央集権型金融と呼ぶ方が適切かなと思います。が実際にはDecentralizedされていないものも含んでいる為、分散型金融と考えても良いかと思います。

DeFiの読み方はディファイです。

以下、DeFiの特徴についてざっと説明いたします。

  • 自分の資産と個人データをユーザ自身が管理、検閲耐性をもつ金融サービスにアクセス可能
  • 地理的な制限がなく、インターネットにさえ接続できれば誰もが利用することができるオープンなシステムで特別な許可なし(パーミッションレス)に利用可能。(日本国内では珍しいことですが、世界的に見れば銀行口座などを所持していない人は多い)
  • 透明性の高さ:契約を結ぶ前に全ての契約条件を知ることができる。(情報の非対称性:売り手と買い手の情報量に差がある)
  • スマートコントラクトを用いることで契約が計画通りに自動執行されるため、取引時のカウンターパーティリスクが排除される。
  • 金融サービスの作成に伴うコスト削減、プログラミング可能なので効率的なシステム構築が可能。

現在の金融システム

現在の金融システムは信頼のおける第三者機関(本当に信頼できるかどうかはわかりませんが仮の前提条件として)が介在することにより基本的には成り立っています。デビットカード、クレジットカード、デジタルバンキングといった金融サービスを用いてサービスや商品を消費することができたり、銀行口座を持つことで資産管理が容易になり節約、貯蓄、資産運用という概念が普及し、ローンによって個人や企業が本来持ち得ない資本を利用することができるようになりました。

この既存の金融システムについて、ブロックチェーンを用いた金融システム(DeFi)が昨今話題に上がることが多くなりましたが、いったい何のためにこれらが求められているのか?それについて以下説明していきます。

既存の中央集権型金融サービスの欠点

  • 不平等なアクセス(既存金融サービスでは地理的な不均衡が生じる)

DeFiによって解消しようとしている問題は既存金融システムが中央集権的にサービスを管理、提供していることに起因しています。中央集権的な管理運営の何が問題なのかというと、単一事業体で運営されるためにどの程度の範囲で、誰に対して金融サービスを提供するかということを運営組織の意向次第で決定してしまうということがまず挙げられます。このことはサービスの低下を意味するということではなく、金融サービスへのアクセスに地理的な制限などがかかり不均衡が生じるということを意味しています。

具体的にいうと私たちは日本という先進国に住んでいるからこそ、最先端の金融サービスを利用することができます。しかし発展途上国では金融インフラが整っていないことも多く、そもそも銀行口座すら持っていない(World Bankのよると約20億人)のはそんなに珍しいことでもないし、それゆえにクレジットカードも使えない、便利な資産管理アプリも利用できない、ローンを組むこともできない。つまり資産管理(貯蓄、運用)、金融システムを利用したビジネス展開という概念が育ちにくく世界的な格差が広がる原因の一つとして考えられているのです。

  • 検閲耐性

適切な検閲は必要な機能ではあるが、一組織の判断で口座を凍結閉鎖できることは問題。仮に取引相手がいた場合、リスクを受けるのは本人ではなく取引相手であり、つまりはデフォルトで貸し手はリスクを負う事になる。

  • カウンターパーティリスク

取引先の経営状況によって予定通り支払いがなされないなどのリスクや発展途上国における金融機関の不安定さから預金を失うリスク

  • 透明性の欠如

ちょっと小難しい言葉で表現すると「情報の非対称性」についての問題です。つまり売り手と買い手の情報量に差があることで、基本的には売り手が有利になる状態を意味しています。

金融サービスに限らずのことではありますが、買い手は基本的には細かく記載された条件に目を通して、難しい説明を聞いてよくわからないままにサービスや商品を購入することが多いのではないかなと思います。よくある手法は「口座開設無料」や「新規購入0円」みたいな謳い文句で販売されているものです。これはのちに値引きした価格以上の利益を確保することができるからこそ成り立つ手法です。

ボランティアで運営されていない限り無料のサービスなど基本的には存在しないと思うのですが、既存の中央集権的な運営管理の下では売り手と買い手間の情報格差を巧みに利用して不透明な契約が成り立たせやすいのです。その最たるものがまだ記憶に新しい2008年の金融危機です。あの金融危機を引き起こした原因はまさにこの金融機関の不透明な情報提供、情報の非対称性を発端に起きた出来事でした。

Decentralizing Financial Service(非中央集権的金融サービス)

既存の中央主権的金融システムは私たちの生活を豊かにしてきたという歴史的背景はあるものの、上述したような問題が顕在化してきたことにより更なる変革が求められるようになりました。それが現在のDeFiといった新たな金融システム構築につながっています。

大きな枠組みで見るとDeFiはフィンテックの一部として捉えることができます。しかし、従来のデジタルテクノロジーではデジタル化による効率的な管理・運営、サービスの低価格化などは実現できそうですが、中央集権的な性格はそのまま引き継ぐので上述した問題を解消できるものではありません。また、これまで特定の組織が担っていた信頼に代わるものとしてデジタルテクノロジーがそれを担うことができるのか、デジタルテクノロジーによる信頼構築は可能なのかということも重要なポイントです。

DeFiは金融システムをブロックチェーンを利用して非中央集権的な運営・管理を可能にしようという試みで、これまで影響力、資金力、歴史に裏付けされた曖昧な信頼を元に中央集権的な組織が金融システムの中心にいましたが、これに代わるものとしてブロックチェーンを用いたDeFiが注目を集めています。

改ざんが難しいとされているブロックチェーンを用いることでユーザーは仲介者を必要とせず、資産を管理、譲渡、融資を受けることが可能になり、スマートコントラクトにより資産の作成、保護、リスク管理するための複雑な金融ツールに簡単にアクセス可能になるのです。

もちろんDeFiにも欠点があり、スケーラビリティ(取引処理速度)の問題やフィンテックと比較すると効率的ではない側面もあります。ですので、従来のデジタルテクノロジーを用いたフィンテックとDeFiはどちらが良いということではなく、それぞれに対象としているユーザーが異なるというように捉えるのがベターなのかもしれません。

なぜDeFiを必要としているのか|ソーシャルコスト(信用に関わるコスト)の削減

ここまで読んでいただくとなんとなくご理解いただけるかと思いますが、ブロックチェーンは全ての問題を解消する万能薬ではありません。

それでもブロックチェーンを用いた金融システムが必要とされるのは、インターネットに接続することができる環境さえ整えば誰もが基本的な金融サービスにアクセスできるようになるからです。

トマス・ピケティが指摘した世界的な経済格差が拡大しているという問題を受けて格差是正のための累進課税など様々な提案がなされてはいますが、本当に格差が問題なのかどうかはまだ議論され尽くされてはいません。資本主義において格差がないというのは考えづらいことですし格差を指摘するピケティやライシュもはっきりと格差が悪いとは言い切ってはいません。道徳的にどの程度の格差があると問題なのか、その格差がどのように全体にとって悪影響を与えるものなのかが重要なポイントになるかと思います。

またハリー・フランファートが「格差について」(2015年)で指摘したように問題なのは格差(経済的不平等)ではなく、十分に持たない人々がいるということも重要な視点です。DeFiはこのフランファートが指摘する貧困層(十分に持たない人々)が十分に待てるようにするために必要な技術だと捉えることもできます。

ブロックチェーンベースの金融サービスの特徴まとめ

メリット

  • パーミションレスにアクセス可能
  • 検閲耐性
  • トラストレス
  • 透明性の高さ
  • プログラミング可能

上記の結果として

ソーシャルコスト(信用に関わるコスト)削減→これまで金融サービスを利用できなかった層がアクセス可能になる。

デメリット

  • P2Pネットワークなので、ストレージコストは上がりサーバーへの負荷増加(効率的ではない)
  • ノード間でデータの正当性を立証するためのコンセンサスアルゴリズムの導入→コンピューティングコストの増加

フィンテックに比べると上記の点でデメリットが目立つ。

ブロックチェーンを用いるかどうかはストレージコスト、コンピューティングコストを犠牲にしてでもソーシャルコストを削減したい場合に有効→例)発展途上国などの既存の金融サービスを利用できない人々に金融サービスを提供することができる→金融リテラシーの向上→貧困の解消を目指し、結果として世界的な格差を是正することが期待される。

DeFiはまだ発展途上の技術ですが、以上のことを可能にするために多くのプロジェクトが開発を進めています。この新しいシステムを強化するためのプロトコルの開発、金融機能、P2P決済、リスクヘッジ、貸付などを非中央集権的なシステム構築、実際にビジネス利用を検討するならばメインチェーンとは別にレイヤー2の導入も必要です。

また、DeFiの課題としてブロックチェーンの外と内を橋渡しする役割を担うオラクルの問題も現時点では抱えています。この点については下記の記事を参照してください。

DeFiプロジェクトリスト(随時更新)

スケーラブル・ペイメント

金融システムとしてビットコインやイーサリアムを捉えると現状では処理スピードや手数料の面からみると非効率的といわざるを得ない。このスケーリング問題についてはビットコインではLightning Network、イーサリアムではState channelというメインチェーンとは別のレイヤー(レイヤー2、サイドチェーン)を導入することで解消しようとしています。

  • Lightning Network(ライトニングネットワーク)

Lightning Networkはスマートコントラクトを利用して即時払いを可能にする非中央集権的なシステムです。

最近ではアート作品のオークションにライトニングネットワークを利用してマイクロペイメントを実施するなど実験的な取り組みも行われました。

  • State Channels(ステート・チャンネル)

State Channelsはイーサリアムのレイヤー2スケーラビリティソリューションです。トランザクションをメインチェーンから切り離してオフチェーンで行うという点でLightning Networkと似ています。

ステーブルコイン(Stablecoins)

ステーブルコインは安定した価値を保持することを目的に設計された暗号通貨です。暗号通貨というとボラティリティの高さ、投機目的というイメージを持っていらっしゃる方も多いかと思いますが、ステーブルコインは投機目的としての魅力はゼロ、従来のお金の本質を引き継いでデジタル化されたものです。現在は暗号通貨のリスクヘッジ先として利用されることが多いです。

現在ステーブルコインは、法定通貨担保型、暗号通貨担保型、無担保型の3つに分類されています。最後の無担保型にBasisというプロジェクトがあったのですが、残念ながらプロジェクト終了してしまいました。

IOU/Centralized(法定通貨担保型)

Bitcoin/Omni

  • Tether

Ethereum

  • CENTRE USDC
  •  Gemini Dollar
  • Paxos
  • TrueUSD

Collateralized(暗号通貨担保型)

Celo

https://celo.org/

Ethereum

  • Maker DAO

暗号通貨担保型のDAIを発行するプラットフォームです。担保にはボラティリティの高いETHを用いているのですが、ステーブルな暗号通貨として機能する仕組みを備えています。詳しくはDAIの記事を参考にしてください。

  • Havven
  • WBTC

Algorithmic(無担保型)

Ethereum

  • Carbon
  • Fragments
  • Terra

Asset Issuance(資産発行プラットフォーム)/Tokenization Protocols

ブロックチェーンは、株式や債券といった有価証券などの資産作成プロセスに革命をもたらしました。既存金融システムでは発行プロセスに手作業や紙の大量消費など非効率的な部分が多く、それらの業務に携わる仲介者に対する手数料が負担となり発行コストを押し上げています。スマートコントラクトにより既存金融システムが抱えていた発行コストの低減や資産作成プロセスの民主化などを実現できる技術として注目されています。

イーサリアム(Ethereum)

2017年はイーサリアムプラットフォーム上でERC20トークンを用いたICOが流行りましたがICOに対する規制がなされていなかったこともあり、海外などで詐欺案件が発生するなどの問題が生じました。そのためICOに変わる新たな資金調達手段として2018年にはセキュリティトークンという法に準拠した形で発行されるトークンを用いたSTOという資金調達方法が注目を集めるようになりました。そのためイーサリアムのERC20トークンはセキュリティトークン発行プラットフォームにおけるガバナンストークンとしての役割を担うことが多いです。STOについて下記の記事を参照してください。

  • Harbor/R-Token
  • Polymath
  • Swarm
  • Abacus

Tari

Tariは、Moneroブロックチェーン上のデジタルアセットを作成するためのオープンソースブロックチェーンプロトコルです。ロイヤルティポイント、イベントチケット、グッズなどのデジタルネイティブ資産を作成。

非中央集権型取引所(DEX)

現在暗号通貨の購入、交換にはユーザーフレンドリーなUIや注文のマッチング、エスクロー資金の提供などを使い勝手の良さから中央集権的な取引所が利用される機会が多いかと思います。ですが、これらの取引所には秘密鍵の管理(マルチシグを採用しているのかどうか、一元管理によるリスク)の問題や流動性の問題、その原因である市場の分断化や不透明な金融インフラストラクチャなど様々な問題を抱えています。

非中央集権型取引所(DEX)では、ユーザー同士が自由に取引できることや資金を自分の秘密鍵で管理できることなどのメリットがあります。

  • 0xプロジェクト

0xは、イーサリアムブロックチェーン上のトークン交換を容易にするオープンプロトコルです。0xの特徴はオフチェーン注文リレーとオフチェーン決済を可能にしていることです。チェーン外でマッチングがなされるので、オンチェーン計算が減りブロックチェーンへの負担が軽減する仕組みを備えています。

  • AirSwap

AirAwapはユーザーによる注文署名後、P2Pで一致させることを可能にしたモジュール式のスマートコントラクトであるという点で0xと似ています。AirSwapも0x同様にオフチェーン注文とオンチェーン決済を採用しています。0xと異なるのはターゲット層の違いで、AirSwapは機関投資家向けに設計されています。ネットワークトークンASTを一定期間ウォレットに保管しておくことで手数料なしで取引することも可能です。

Derivative Protocols/Prediction Markets:デリバティブ(金融派生商品)/予測市場

デリバティブ(金融派生商品)とは、各種金融商品(株式、債券、外国為替、預貯金等々)のリスク低下や逆にハイリスクハイリターンを追求する手法として考案されたもので、先物取引やオプション取引やそれらを組み合わせた多種多様な取引が含まれます。

デリバティブ市場にブロックチェーンを導入することで、これまで参入できなかった層がアクセス可能になったり、スマートコントラクトにより契約作成コストの削減、カウンターパーティリスク低下という効果が期待できます。

ブロックチェーン×デリバティブのキーコンセプトについては以下の記事が参考になります。→https://media.consensys.net/derivatives-on-blockchain-key-concepts-bbb5393e16a4

Ethereum

  • Augur

Augerは、インターネットにさえ接続することができれば誰もがあらゆるイベントについての予測市場を構築することができる非中央集権型プラットフォームです。群衆の知恵を利用して市場予測を行うのですが、一種のヘッジツールとして活用できる可能性もあります。

  • Veil
  • Guesser
  • dy/dx

dy/dxは、ERC20トークン用の非中央集権型デリバティブの作成、発行、取引を可能にするプロトコルです。またショート(信用取引や外国為替証拠金取引など、担保を元に取引する際の売りのこと)などのより複雑な金融ツールを提供することによって暗号通貨市場を効率化しています。

    • bZx
    • CDx
    • Daxia
    • Gnosis
    • Market
  • UMA

Bundling Protocols/Indexing(インデックス)

Indexing(インデックス)とは市場全体の動向を示す指標や指数のことで、株式や債券等々の特定のマーケットの価格データから市場全体の動向がわかるように数値化したもののこと(日経平均株価など)です。このインデックスと同じような値動きをするように作られた投資信託のことをインデックスファンドと呼びます。個々の株式を選択購入に要する労力低下と市場全体の平均とほぼ連動するためリスクが低いという特徴があります。このインデックスファンドとブロックチェーンを組み合わせることで、暗号通貨による投資リスクの低下が期待できます。

Ethereum

  • Basket Protocol
  • BSKT
  • Set Protocol

Lending Protocols(貸出、融資)

融資は経済の加速化させるという意味でなくてはならない金融システムの中核をなす機能です。ブロックチェーンと基本的な債務契約を組み合わせることで、オープンアクセス、透明性、プログラマビリティなどの効率性向上が期待できます。

Ethereum

  • Dharma

DharmaはERC20トークンを利用して債務発行しクラウドソース化させることができる非中央集権型プロトコルです。誰もが第三者を仲介させずに開発ツールやスマートコントラクトを利用して債務契約の作成、引き受け、発行、管理することができます。

  • Compound

Compoundはイーサリアムブロックチェーン上にマネーマーケットを構築するための非中央集権型プロトコルです。ユーザーはCompoundを利用してERC20トークンを貸し出すことができますし、金利、担保、満期などの条件を相手側と交渉する必要もありません。

    • Ethlend
    • Lendroid
  • Marble

Fund Protocols

Ethereum

  • Fund Protocol
  • Melonport

KYC/AML/Identity

Ethereum

  • Bloom
  • Wyre

Applications/Tools

Ethereum

  • Bloqboard
  • Fetch
  • Multis
  • Settle
  • Zerion

Analytics

Ethereum

  • DEX Terminal
  • ETH inDeFi
  • MakerScan

Misc

Ethereum

  • 8x Protocol
  • AZTEC Protocol
  • Centrifuge
  • Groundhog