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STO(Security Token Offering)とは?|仕組み、特徴、各プロジェクト紹介

STOとはSecurity Token Offeringの略で、ICO(Initial Coin Offering)市場衰退後の資金調達手段として注目を集めています。証券(Security)化そのものは既存の金融概念ですが、STOは証券のトークン化というブロックチェーン技術との融合から生まれた新しい投資形態です。

本記事では、なぜ既存金融システムとブロックチェーンを融合させるのか、そのメリットや特徴、仕組みについて説明していきます。

STO(Security Token Offering)の概要

セキュリティトークンとは、証券性を持つトークンのことであり、法規制に準拠した形で発行・取引されるデジタル資産のことです。2017年のICOバブル下では、資金調達のための発行トークンを証券性のないユーティリティトークンであると主張する場合が多く、規制当局の許可なしにあやふやな価値に基づいて発行したトークンを不特定多数の投資家に販売することも多々ありました。

法規制が整っていなかったということもあり、詐欺被害にあう個人投資家も現れはじめたことや、時間の経過とともにユーティリティトークンがセキュリティとしての性質を帯び始めてしまう可能性などが指摘され、現在の法に準拠した形のSTOという流れへと向かったものと考えられます。現在では世界的に法整備、規制強化の方向へ向かっており、国内では2018年11月現在、個人投資家保護のために日本金融庁はICO規制強化計画をたて、来年2019年には法改正を促すよう働きかけていくようです。

ユーティリティトークンの種類

ユーティリティとは日本語では有用性という意味で、証券性はないけれど有用性はあるトークンのことをユーティリティトークンと呼んでいます。ユーティリティトークンには大きく3種類あるとされています。

Usage tokens(ユーセージ・トークン)

Usage tokensは、トークン所有者がネットワーク機能、サービスへのアクセス権を持つことができるトークンのことです。BTC(Bitcoin)やSTX(BlockStacks)などが該当します。

Work tokens(ワーク・トークン)

Work tokensはトークン所有者がシステムを機能させるための「作業」に積極的に関与するようにインセンティブとして働く役割を担ったトークンのことです。REP(Augur)やMKR(MakerDAO)が該当します。

Hybrid tokens(ハイブリッド・トークン)

Hybrid tokensはUsage tokensとWork tokensの両方の機能を兼任したトークンのことです。ETH(Ethereum)やDASH(dash)が該当します。

現在アメリカでは、ユーティリティトークンでも、証券としての性質を帯びている場合はセキュリティトークンと認識されますので、SECへの登録が必要です。

セキュリティトークンとは

セキュリティトークンとは、証券性を持つトークンのことです。要は有価証券としての価値があり、譲渡させることで財産的権利を簡単に移転させることができます。また証券法などの法律に準拠した形でトークン化されている事による安心感や、配当を得られるという特徴があります。株式会社の株式や、不動産、債権、デリバティブ、アートなどの現実社会の資産をトークン化したものもセキュリティトークンと呼べます。

セキュリティトークンのメリット

トークン化のメリットには、大規模な資産の細分化、流動性の向上、発行コストの削減、市場効率の向上などが挙げられます。特に注目すべきポイントは「セキュリティトークン発行者は、グローバルな資本プールにアクセスできる」という点です。セキュリティトークンは国際的に販売、取引されるため流動性が高まりより公平な価格になりやすく、これまでの証券取引市場に取って代わる可能性を秘めています。

一部のエバンジェリストは、今後10年で既存の証券取引所やOTC市場(証券会社や金融会社での店頭販売)はSTOに完全に置き換えられると主張しています。各国の規則に準拠しなければならないという課題を抱えてはいるものの、実現すれば新たな資本主義社会が誕生するかもしれません。

  • 流動性を高めることができる

従来の証券取引所では、証券取引所の営業時間が決まっており、例えば東京証券取引所では9-15時(間に休憩あり)で、1日5時間のみ取引可能です。また海外の投資家は東京のタイムゾーンに合わせて取引しなければなりません。一方で証券をトークン化すると仮想通貨と同じように24時間取引が可能になります。つまり、証券の流動性が高まり、多くの人が市場に参入することで市場の価値を反映しやすくなったり、マイナーな証券でも買い手がいないから売れないという問題が生じにくくなるなどのメリットがあります。

現在ではわざわざ取引所にログインしなくても仮想通貨をスマホなどにインストールしたウォレットアプリ内で取引ができるサービスやDEXと連携したサービスも始まってきたので、将来的にセキュリティトークンをサポートしたサービス展開なども期待されますし、後述しますが、Bancorなどの流動性を高めるプラットフォームなども出てきていますので今後ますます利便性が向上していくものと考えられます。

  • 低コスト化

既存の証券業務にはブローカー、トランスファーエージェント(ファンドの設定解約の窓口を担う。日本では運用会社が行う業務に相当する)、カストディ(証券の保管、管理業務など)など多くの業務が関わっていますが、ブロックチェーン技術を利用することで機密性の高い情報でも業務を自動化することが可能なので、低コスト化に繋がるのではないかと期待されています。

  • コンプライアンスのコスト削減・自動処理

上記の低コスト化で述べたことと重複してしまいますが、証券取引所のコンプライアンス(法令遵守)には大きなコストがかかっています。様々な制約に対して、それに準拠するためのシステム構築や、人力での監査などの現状大きなコストがかかっている業務をブロックチェーンを利用して自動執行させることも期待されています。(スマートコントラクトなどを利用)

有価証券の種類

日本国内の有価証券は、「資本証券」、「貨幣証券・倉庫証券」、「物財証券」の大きく3つの分類に分けられています。セキュリティトークンは資金調達のために発行される場合が多く、株式のような性質を持っているので「資本証券」に近いですね。

  • 資本証券:株式、社債券
  • 貨幣証券・運送証券:手形、小切手
  • 倉庫証券:物財証券

セキュリティトークンのプラットフォーム(随時更新)

セキュリティトークンプラットフォームは「発行型」、「交換型」、「カストディアン(保管業務)型」「インフラ(流動性改善など)型」の4つに大きく分類することができます。

セキュリティトークン発行プラットフォーム

US

  • Swarm Fund
  • Polymath
  • Harbor
  • Securitize

EU圏内

  • Blockstock
  • GoSecurity
  • jibrel
  • Blockex

アジア

  • AnyPay

交換型プラットフォーム

US

  • SharesPost
  • Orderbook
  • VrBex
  • INX

EU圏内

  • Gibraltar Blockchain Exchange
  • SIX Digital Exchange
  • BlockExMarkets
  • DX.Exchange
  • Blocktrade

アジア

  • Bankorus

カストディアン(保管業務)プラットフォーム

US

  • PrimeTrust
  • Coinbase
  • Paladin
  • Vo1t
  • BitGo

EU圏内

  • SIX Digital Exchange
  • Ledger Vault
  • Swiss Crypto Vault

インフラプラットフォーム

US

  • Bancor
  • Templum
  • The Elephant
  • Rialto
  • InvestaCrowd

EU圏内

  • Neufund
  • Smartland

アジア

  • Equitybase
  • JD Blockchain Open Platform