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リカルディアン・コントラクト(Ricardian Contracts)とは|法的拘束力を持った合意、契約を行える第2世代のスマートコントラクト

Ricardian Contract(リカルディアン・コントラクト)は1995年にプログラマーIan Grigg(イアン・グリッグ)氏によってRicardo Payment Systemの一部として導入されたブロックチェーンを用いた法的な合意書を作成することができる契約方法のことです。

スマートコントラクトとは異なり、Ricardian Contractはデジタル文書を暗号化して署名、検証し、かつ人間が読むことができるのは勿論、コンピュータプログラムでも読むことができる法的な合意書を作成することができます。

Recardian Contractの特徴まとめ

  • human-readable legal agreement:当事者間であれば誰でも読むことができる法的契約書。弁護士は勿論、契約者本人も読むことができます。
  • machine-readable contract:機械可読性を持った契約書であり、簡単に暗号化、署名、改ざんが難しいとされるブロックチェーンに保存される。

Ian Grigg氏が1998年に発表したRicardian Contractについてまとめた資料「 Financial Cryptography in 7 Layers」に詳細が書かれているので、詳しく知りたい方はご参照ください。

スマートコントラクト(Smart Contract)とリカルディアンコントラクト(Recardian Contract)の違い

スマートコントラクト(Smart Contract)

リカルディアンコントラクト同様にスマートコントラクトも機械可読契約であり、ブロックチェーン上に複雑な契約を自動化させて記録することができるという特徴があります。

スマートコントラクトにより、例えばファイナンス業界におけるカウンターパーティリスクの削減などが期待されています。金銭、株式、その他資産などの交換を当事者間であらかじめて定めたルールに基づいてインターネット上でコンピュータコードを介して自動で履行されるように設定することができます。これにより約束の期日に先方の都合で支払いが履行されないというリスクを削減することができます。詳しくはDeFi(Decentralized Finance)の記事を参照してください。

スマートコントラクト(Smart Contract)の特徴

  • コンピューターコードを介して契約を自動で実行可能
  • 自己検証と自動履行
  • ブロックチェーンに記録されるので改ざんが難しい
  • コスト削減(手作業で処理していた膨大な書類処理を自動化した結果、仲介手数料削減)

スマートコントラクトに問題があるとすれば、作成された契約書に法的拘束力がない(法的拘束力を持った合意ではない)ということと、その契約内容を人間が読むことができない(コードなので機械は読み取り可能)ということの2点です。

リカルディアンコントラクト(Ricardian Contract)

リカルディアンコントラクトは複数の当事者間の合意を記録し、スマートコントラクトの場合は「アクションの合意」を定義したものを実行するという合意の種類に基本的な違いがあります。

スマートコントラクトは法的な効力を持ちませんが、リカルディアンコントラクトは法的に有効な契約を行うことができ、また人間が読むことができる法的契約書を、ソフトフェアで実行できるように機械が読み込めるコードに変換させることができます。

リカルディアンコントラクト(Ricardian Contract)の特徴

  • 印刷可能な形式、人間が解析可能な契約
  • 機械可読性
  • 発行者と両当事者による署名

リカルディアンスマートコントラクト(Ricardian Smart Contract)

スマートコントラクトに法的な枠組みを追加することにより、契約の意図を高め、行動を明確にすることが可能になるのでスマートコントラクトでは対応できなかった詐欺や争い事に対して法廷で立証することも可能になるのでより高いセキュリティ効果を期待することができます。

またインターネットやブロックチェーン上で資産を売買する際の信ぴょう性を高める効果も期待されています。人間が読むことができる契約書なので何を売買しているのか、その法律用語の下で、誰が関わっているのかを法律的な用語で定義することが可能です。

リカルディアンコントラクトをスマートコントラクトに統合させることにより、インターネット上の取引を堅牢で確実な契約にすることが可能になります。このようにリカルディアンコントラクトとスマートコントラクトを統合したものをRicardian Smart Contract(リカルディアンスマートコントラクト)と呼びます。

リカルディアンコントラクト自体は法的な枠組みを持たせて、スマートコントラクトのようにコードによる実行が可能なのですが、スマートコントラクトの場合はリカルディアンコントラクトのように法的枠組みを追加することができないので、法的枠組みを必要とする場合は統合してリカルディアンスマートコントラクトにする必要があります。

リカルディアンコントラクトに含むことができる内容

当事者間の法的契約を定義するようプログラムできるものと行動を実行するために指示をリカルディアンコントラクトに含むことができます。

  • 当事者情報:何人の当事者が参加しているのか、協定を締結している当事者は誰か、代表は誰なのかといった当事者情報を含むことが可能です。
  • 時間要素:契約の有効期限(限られた期間なのか永久に適用可能なのか等)、時間に対する定義(契約条件、契約が無効になった場合などの定義等)
  • あらゆる可能性に対する例外的措置
  • 条件