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分散型予測市場『Veil』には2タイプのマーケットがある
Augurは様々なタイプのマーケットをサポートしていますが、特にバイナリー・マーケット(Binary Markets)とスカラー・マーケット(Scalar Markets)にフォーカスをしているデリバティブ市場です。
本記事ではAugur、Veil上のバイナリー・マーケット、スカラー・マーケットの基本的な構造、取引方法の基本システムを説明していきます。※VeilはAugur上の市場予測マーケットで基本操作は似ています。
Veil公式サイト:https://veil.co/
登録方法については説明致しませんので、あらかじめ登録しておいてください。
Augur(オーガ)マーケットについて
Augur上の各マーケットには、質問と期限が設けられています。
例えば
- 質問:What film will win Best Picture at the 91st Academy Awards?(第91回アカデミー賞の最優秀賞はどの作品が受賞すると予測しますか?)
- 期限:38:18:13:18(期限残り38日18時間13分18秒)※↓画像参照(AugurではなくVeilの画面を参照しています。)
その質問に対して、バイナリー・マーケットの場合は作品を選びLong(はい)かShort(いいえ)を選択し、金額を入力、支払いを終えて、期限が過ぎるまで結果を待つというのが取引の一連の流れになります。※バイナリーマーケットとスカラーマーケットの違いについては後述致します。
マーケットの結果と支払いについて
マーケットが期限を迎えると、マーケットの結果を元にロング側とショート側の両方の1shares(株のようなもの)あたりの価格が設定されます。マーケットを作成したレポーターによって最初に設定されるのですが、最終的にはAugurのオラクルシステムによって確定されます。
Augur、Veilともに
『Longとshortの両方を足すと必ず1sharesあたり1ETHになる』
というルールが設けられています。
バイナリーの場合はYES/NOの2者択一式なので、正解側のsharesは1ETHの価値になりますが、一方の間違えた側のsharesの価値は0ETHになります。
スカラーの場合は単純なYES/NOではないので、ロングポジションとショートポジションの2つの値と、最終結果が示す値の位置に応じてショート側とロング側にそれぞれ比率に応じて1sharesあたりの価値が決定します。これもショートsharesとロングsharesを足すと必ず1ETHになるように設定されています。
このlongとshortを足すと必ず1sharesは1ETHという条件を前提にしてロング、ショートのSharesの現在価格で購入するに値するかどうか判断する材料となりますので、このルールはしっかりと覚えておいてください。
バイナリー・マーケット(Binary Markets)とは
バイナリーとは、デリバティブ(金融派生商品)の一種で、正式にはバイナリーオプションと呼ばれる商品です。バイナリーは「はい/いいえ」で結果を提示する2者択一方式のシンプルなオプション取引です。正しい選択をすれば、利益を獲得できますが、選択が間違っていると取引を行うために支払った金額を失ってしまいます。
バイナリーオプション取引は、シンプルな二者択一方式、結果が予想される時間設定のみで設定可能な為、一般的には為替、コモディティ(エネルギー、貴金属、農産物等)、株式、インデックスなど様々な種類の金融商品を対象に取引することが可能です。
例えば、以下のようなものがバイナリー商品です。
例)質問:コインベースは2019年末までにETCを上場廃止するでしょうか?「はい」の場合は「Long」、「いいえ」の場合は「Short」を選択します。
仮に2019年末までにコインベースからETCが上場廃止になった場合は、longを選択した側に1sharesあたり1ETHの価値がつき、short側には1sharesあたり0ETHの価値がつきます。つまり選択を間違えると賭けた金額全てを失うということです。
バイナリーマーケットで、ショート、ロングのどちらのポジションを取るかはそのイベントが発生する可能性について考える必要があります。
上記の例題の場合、2019年末にETCがコインベースで上場廃止になっている可能性(つまりロングポジションのsharesが1ETHの価値になる可能性)が50%くらいかな?と考えているのならば、1sharesあたりの期待値は0.5ETHなので、購入する際にそれ以上の価格で提示されている場合は購入を控えた方が良いと判断します。あくまでも確率の問題なので、参考程度にしてください。
実際にVeilのバイナリーマーケットをチェック
下の場合は匿名通貨GRINが2019年3月16日までにコインマーケットキャップにリストされているかどうか?という質問です。
右端のオーダーブック(Order book)を開いてみるとShort(いいえ)は1sharesあたり0.25ETHで購入できるということを示しています。この場合、もしリストアップされなければ1sharesあたり0.75ETHのリターンを得るということになります。反対にリストされた場合は1sharesあたり0.25ETHで購入したsharesは0ETHの価値になってしまいます。
一方のLong(はい)は1sharesあたり0.95ETHです。3月16日までにリストされると1sharesあたり0.05ETHのリターンということですね。こちらもリストされた場合は1sharesあたり0ETHになります。
ここからわかることはGRINは3月16日までにはコインマーケットキャップにリストアップされるだろうと予測している人がとても多いということです。これがVeilやAugurが『群衆の知恵を用いた予測市場プラットフォーム』と呼ばれている理由です。このように実際に自身ではベットせずに、数値を見て未来予測のツールとして利用するという使い方もできます。
仮に賭けるのであれば95%以上の確証を持ってリストアップされると思うのであればLong購入、25%以上の確率でリストアップされないだろうと考えるならShortを選択するという感じで判断していきます。(あくまでも個々人の判断基準によります)
※バイナリーマーケットは結果と異なる選択をした場合、投じた資金を全て失います。
スカラー・マーケット(Scalar Markets)とは
スカラー・マーケットは、ロング(long)またはショート(short)のどちらかの結果を提示するという点ではバイナリー・マーケットに似ています。しかし、勝者側だけに支払われるバイナリーマーケットとは異なり、ロング、ショートそれぞれのsharesの価格は「期限を迎えた時の最終価格」、「longの設定価格」、「shortの設定価格」の比率に応じて変動します。
スカラー・マーケットはYes/Noで答えられない事象、例えば天気、気温、数日後のREPの価格などは正確に当てることはできません。ですので、このような正確な数値を予測することが困難な事象に対しては二つのポイント(下限と上限)を設けて、最終の結果がどちらにより近いかに応じて、その比率に応じた支払いがなされます。
例えばZRXのUSD価格が0.3USD前後にあると仮定して30日後のZRXのUSD価格を予測するスカラー・マーケットを作成するならば、下限を0.0USD(これがShort)、上限を0.6USD(これがLong)というように設定します。※あくまでも仮です。
結果として30日後にZRXが0.3USDだった場合は、1sharesあたり0.5ETHになります。※あくまでも1sharesあたり1ETHというルールが適用されることに注意してください。
その上で0.3USDは下限(short)の0.0USDと上限(long)の0.6USDの丁度中間に値するので、50%づつが配分されるのです。
スカラー・マーケットではある特定の数値を予測するのではなく、2つのポイントの方向性を予測するということです。より0.0USDに近ければShort側のsharesはより1ETHに近づきますし、より0.6USDに近ければLong側のsharesが1ETHに近づきます。
具体的な数値の計算方法についてはVeilの公式ブログに掲載してあった以下の数式を参考にしてください。
引用元:https://medium.com/veil-blog/a-guide-to-augur-market-economics-16c66d956b6c
下の図はLongとShort sharesの価格の関係を示すチャートです。X軸がZRX/USDで、Y軸が1sharesあたりの価格(ETH)です。
引用元:https://medium.com/veil-blog/a-guide-to-augur-market-economics-16c66d956b6c
VeilではVeil proというバージョンも用意されています↓そのほかREST APIの提供も行っていますので各自好みのバージョンを利用することが可能なようです。