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デリバティブ

rDAIとは|Web3オリジナルの新たなビジネスモデルとなるか

rDAIとはRedeemable DAIの略称で、プロジェクト等に対する寄付を目的にDAIをスマートコントラクトにロックして生成するトークンのことです。ロックされたDAIはCompoundなどの利子生成プールで自動運用され、そこで発生した金利収入をrDAI(他者に譲渡可能)の保有者が獲得することができます。

Compound、DAIについては下の記事をご参照ください。

rDAIは、クリプトネイティブの非営利組織などへの慈善寄付手段として生まれたプロジェクトです。ポイントとなるのはrDAIは自分自身が金利収入を得るという選択肢だけでなく、保有者以外のコミュニティファンドや慈善団体、dAppなどに対して発生した金利を譲るという選択肢や「金利と元本/利子とDAI」の債権をセカンダリーマーケットで取引するという選択肢が可能になる点です。つまり利用方法次第ではweb3オリジナルの新たなビジネスモデルとしても注目できるのではないでしょうか。※rDAIの応用web3型サブスクTribute↓

rDAIのユースケース

チャリティー

DAIをロックするという方法で、チャリティ活動を行うことができます。DAIという価値を直接投げ銭するのではなく、時間が生む価値(利子)を寄付金として利用するので、心理的負担も少なく寄付をするという障壁が低くなる可能性があります。

rDAIを自分で保有するメリット

資産を安全に保有しながら資産運用するために、rDAIをコールドストレージ(インターネットに未接続)に維持した状態で、消費用のホットウォレット(インターネットに接続)に利子収入が入るようにしておくという方法も考えられます。固定融資期間などもないのでROI次第でいつでもロックを解除できるという点で投資商品としても優れています。

コミュニティの収益源として

コミュニティDAOを受益者として設定することで、保有しているDAIをコミュニティのために運用し利子収入を渡すことが可能です。rDAIはコミュニティ内で自由に取引することができるので、コミュニティの運営費などに活用できそうですね。

dApp開発者のマネタイズ方法として

dApp開発者のマネタイズ方法としてもrDAIを利用するということも考えられます。ユーザーがアプリを利用している間、利用料としてrDAIが生む利子を収益として得ることができます。これにより、ユーザーはサービス料として資産を消費するのではなく、一定量のDAIを保有することでサービス利用ができるというようなdAppなどが生まれてくるかもしれません。

rDAIはどのように機能するのか

rDAIの取得+利子収益の寄付方法

上画像の例ではBOBがrDAIアプリを立ち上げ、「100DAI」をコントラクトに転送し「100rDAI」をミントしてBOBのアカウントにrDAIが振り込まれます。この時にコントラクトに預けた「100DAI」は最も効率の良いDeFiレンディングプロトコル(Compoundなど)で運用され利子収益を生み出します。

上画像は先にミントした100rDAIが生み出す利子収益をUNICEFへ寄付するパターンです。100rDAIを保有したBOBがUNICEF Hat(帽子)を設定(被る)すると保有している100rDAIの利子収入はBOBにではなく、UNICEFのアカウントに寄付されるようになります。※Hatには種類があるので後述します。

rDAIを他者へ転送

UNICEF Hatを設定した100rDAIをBOBからCHARLIEに転送すると、今度はCHARIEが100rDAI分のUNICEF Hatを継承して被ること(Hat継承ルールが適用される場合のみ※後述)になります。

BOBから引き継いだUNICEF Hatですが、もしCHARIEがUNICEFにではなく、ETH Berlinに対して寄付したい場合はrDAIアプリでHatの設定を変更することでETH Berlin Hatに変更し、100rDAIが発生する利子収入はETH Berlinに寄付されるようになります。

今度はCHARIEからもともとHatの設定をUNICEFに指定しているALICEに転送した場合は、自動的にEth Berlin HatからUNICEF Hatへ切り替わり、UNICEFに対して利子収益が寄付されるようになります。

※Hatは各アドレスに一つだけ設定できるようになっています。(分配率を決めて複数の受益者を設定することができます)

rDAIをDAIと引き換える(Redeem)方法

100rDAIを譲り受けたALICEがrDAIアプリでRedeemボタンをクリックするともともとBOBが預けた100DAIはALICEのアドレスに返還されます。つまりrDAIを他アドレスに転送するとはDAIの所有権を転送するとほぼ同義ということです。

この仕組みを利用すれば「DAIと利子」をセットにした債権のようなものをセカンダリーマーケットで取引するということも考えられます。

利子収益を得ていたUNICEFが未収利子を回収するにはrDAIアプリで利子として得たrDAIをDAIに引き換える必要があります。この場合もRedeemボタンをクリックすることで可能になりますが、これはUNICEFが直接行わなくても誰でもできるようになっています。

rDAI機能をざっくりご紹介

1.Hatの種類

Hatとは、ユーザーがデポジットした「DAIによって得られる利子を誰が得るのかを定義するもの」で、各アドレスに対して1つのHatを設定することができます。また、Hatには複数の受益者を設定することができます。Hatには以下のように3種類あり、設定によって変更することができます。

・Zero Hat|全てのアドレスにデフォルトで設定されているHatです。所有者がロックしたDAIから得る利子収入を保有者自身が得るというHatです。自身の意思でHatを選択する訳ではなく、初期設定でなされる仕様なので利用者の多くの人がこのHatを利用することになるのではないでしょうか。※Hat継承ルール(転送してくれたrDAI保有者のHatを継承する)が適用されますので、rDAIを転送して受け取った場合は転送元のHatが継承されます。この点がSelf Hatと異なります。

・Self Hat|Zero Hatと同じで保有者自身が利子収入を得るモデルです。ただし、自身で意図して「自分を利子収益の受益者」として選択しているため、Hat継承ルールがこのアドレスに対しては適用されません。

・Other Hat|Hatの定義で示されている受信者のアドレスに対して利子収入を与えることができるHatです。※Hat継承ルールはこの場合も適用外

2.Hatの定義方法

Hatは、受取アドレスのリストと保有者の持つrDAIローンの各受益者への分配率によって定義されています。

例えば受取アドレスAとBがある場合、アドレスAに80%、アドレスBには20%というように定義することができます。この例の場合ですと、DAIトークンから発生する利子収入の80%はアドレスAに、20%はアドレスBに分配されます。

3.ミント

rDAIトークンを利用するにはまず、rDAIコントラクトを承認する必要があります。承認後にDAIの保有量と同量のrDAIが作成可能になります。※DAI:rDAI=1:1の関係にあります。

rDAI作成に利用されたDAIは、自動的にCompoundなどで運用され、ユーザーが選択したHatで指定したアドレスに利子収入が分配されるようになっています。

4.引き換え(Redeem)

rDAIをrDAIアプリに返済することで、いつでも預け入れされているDAIに引き換えることができます。

5.転送

rDAIはERC20規格に準拠しているので、ERC20転送または承認機能を使用して、アドレス間でrDAIトークンを転送する必要があります。rDAIを転送すると、トランザクションに関連するソースから貸し出されたDAIトークン量が回収され、新しい受益者に貸し出されます。

rDAI詳細

※rDAIは現在メインネット上で稼働しています。

公式サイト:https://redeem.money/

公式Twitter:https://twitter.com/rDAI_dao