MakerがMCD(Multi-Collateral Dai)導入に向けて新たなOracles V2を発表しました。今回発表のV2はスケーラビリティ、分散化、レジリエンシー、レイテンシー、そしてコストを最適化するためにゼロから再構築されたのものです。その概要と新たなオラクルインセンティブの提案について今回はご案内していきます。
Makerについては下の記事をご参照ください。
DeFiパートナーによるフィード
Makerのオラクルv2では、他のDeFiパートナーから得るフィードを利用しています。オフチェーンの価格情報をオンチェーンへと橋渡しするオラクルにとってはフィードの信頼性は重要な要素となります。
このフィードそのものの信頼性を保つために、ボットを利用してそれぞれが独立してリアルタイムな価格情報を提供するように機能することがポイントとなります。※スマートコントラクトの標準価格(MakerDAO Feed Dashboard)にまとめられてdApp(分散型アプリケーション)に利用されます。
オラクルについては下の記事をご参照ください。
Makerのオラクルは匿名の個人(ブラックメールなどのリスクから守るために匿名)から得るフィードを元にしたものと、悪意ある攻撃から耐えるリソースをもつ組織(DeFiパートナー)によるフォードのハイブリットモデルとして検討されています。
現時点では0x、dydx、Set ProtocolおよびGnosisの4社のDeFiパートナーからフィードを得ることを発表しました。これらの組織の協力を得たことにより、オラクルV2はこれまでよりも分散化されたオラクルとして機能していく可能性があります。
ガバナンス
オラクルV2リリースに伴い、Makerは新たなMKRガバナンスの方法も導入するようで、2019年9月5日のパブリックガバナンスコールで、MKR保有者にいくつかの新しい提案を提出する予定です。これらの提案は9月9日にMakerDAOフォーラムで公開され、承認のためのガバナンスポータルへの提案提出は9月16日を予定しています。
予定されている提案タイトルは以下の4点
①DeFiパートナーフィード(0x,dydx,Set,Gnosis)
②オラクルチーム委任(適切な外部オラクルチームが選出されるまで、ガバナンスプロセスを促進するために内部オラクルチームに管理を委任する。ただしオラクルチームには投票者の承認なしに変更を実施する権限はない)
③オラクルガバナンスフレームワーク
④オラクルインセンティブの再構築
それぞれの内容についてはこちらに詳細(英語)が記載されています。今回は④のオラクルインセンティブ再構築についてのみご案内します。
オラクルインセンティブの再構築
オラクルV2ではこれまでのインセンティブシステムから新たなものに再構築することが提案されています。上画像はオラクルエコシステムにおける各プレイヤー「フィード/情報提供者」「MKR保有者」「データ利用者/dApps」の関係を示しています。
フィード提供者には、価値のある情報提供をすることがインセンティブとして働くようにし、悪意ある動作を阻止する必要があります。現在の仕組みではMakerの開発基金によって賄われていますが、将来的にはMaker Protocolの手数料(CDP作成時のStability Fee)によって調達する予定のようです。※CDPとはDAIを発行するスマートコントラクトです。詳しくは下の記事をご参照ください。
オラクルV2には、オラクル価格の読み取りを許可されているスマートコントラクトアドレスを含むホワイトリストが導入されており、この仕組みによりMKR保有者はオラクルインフラストラクチャを収益化(データ利用者から得る)して、それを実行するためのコストを回収できるようになっています。
このインセンティブ設計により、上画像のような情報提供者(フィード)とデーター利用者(dApps)、MKR保有者の関係性が生まれ、担保だけでなくフィードがあらゆる種類の資産の価値をサポートするためのインセンティブを提供することになります。