UMAとは?DeFiエコシステムを拡張するシンセティックトークン発行プラットフォームの概要と機能について

DeFi(分散型金融サービス)

UMAとは?DeFiエコシステムを拡張するシンセティックトークン

UMAとはUMA独自のコントラクトデザインパターンとあらゆる資産の価格を追跡するオラクルメカニズムを用いてシンセティックトークン(分散型の合成資産)を作成することができる分散型金融コントラクトプラットフォームです。 合成資産とは、90年代に伝統的な金融市場に現れた金融商品のことで、TRSやCDSなどのリスク移転商品のことを指します。伝統的な金融商品とは異なりUMAはMakerDAOのCDPのように、スマートコントラクトに担保を預けることで誰もがシンセティックトークンを発行できるという点でとても興味深いプロジェクトです。 これまでのDeFiプロジェクトにもデリバティブ商品は存在しましたが、UMAの場合はS&P500やTSLA株、中国元、他の暗号資産、他のDeFiプロジェクトであるCompoundの金利といったあらゆる資産価格をオラクルを用いて追跡し、それらを元にしたトークンを自由に発行する事が可能です。つまりリスクを回避したい人(売りたい人)と、そのリスクを買いたい人をマッチングさせる市場(リスク移転商品)を創出するという事です。あくまでもDEX上でのP2P取引になるので、流動性という課題は抱えてはいますが。 UMA公式サイト:https://umaproject.org/index.html

UMAはどのように機能するのか?

1.相反する取引予測をマッチングさせる

例えばAさん(インベスター)が今後6ヶ月の間に金(ゴールド)の価格が下がると予測しているとします。それに対して、Bさん(プロバイダー)は逆に現在の金の価格が安すぎると感じ今後6ヶ月の間に価格が上昇すると予測している。この相反する予測をする両者をUMAのスマートコントラクトを用いてこの両者の金の価格予測を巡る取引(価格が上昇したらBさんがAさんに、下落したらAさんがBさんに支払いするという取引契約)を成立させる事ができます。
この際に両者ともに事前に契約を保証するために10%のマージンをスマートコントラクトに預けておきます。※不正行為を行うと失われます
シンセティックトークン(合成トークン)の作成方法は上図のような仕組みで成り立っています。インベスターであるAさんがN分のDAIをスマートコントラクトに預け、プロバイダーであるBさんはM分のDAIをスマートコントラクトを預入します。つまり二人で一つのトークンを鋳造するということです。この鋳造されたトークン(仮称:Gold Token/金トークン)はAさんが預けたNと同等の価値を持つトークンとして鋳造されます。つまり、Gold tokenの価値(Aさんの預金額だけ)よりもスマートコントラクトに担保している価値(AさんとBさんの合計預金額)の方が高い状態で鋳造されるということです。

2.追跡している資産の価格変動に応じてマージン要件を満たす必要性

もし今後6ヶ月の間に金の価格が下がっていた場合、BさんはAさんに対して金のトータルリターンを渡しますが、その際に手数料(上画像ではF)を得ることができます。またBさんは金の下落に伴いマージン要件を満たすことができなければサブアカウントがデフォルトして強制的に清算(ペナルティもある)されてしまうため、それを防ぐためにBさんはDを預入する必要があります。※スマートコントラクトはTotal Magin(トータルマージン/AさんとBさんの合計預金額)が十分な担保率を維持しているかどうかを確認することでデフォルトを監視しています。

3.即時決済

6ヶ月後に金の価格が30%下落していた場合、Aさんはそれに応じた収益(最初に預けたNと金の価格変動で得た収益からBさんへの手数料Fを差し引いた金額)を得ることができます。一方のBさんはマージン要件を満たすために継続して資金を預け続けていたので損失を出すことになりますが、取引終了までマージン要件は満たしていた場合は全てを失うことはなく、上図のように最初の預金額Mと途中預入したDとFから金の価格変動による損失分を差し引いた額を引き出すことができます。これらの一連の契約は取引の終了とともに鋳造したトークンをバーンして即時決済されることになります。
スマートコントラクトへの担保比率が十分でなくデフォルトした場合は、上図のようにプロバイダーであるBさんにペナルティ(DP)が課されることになります。一方のインベスターであるAさんはBさんが支払ったペナルティ(DP)を受け取ることになります。つまりリスク移転商品というのは簡単にいうと投資する対象に対する保険のようなものということです。そのリスクの受け手であるプロバイダーのメリットはリスクを受け持つ代償として手数料を受け取ることができるという点にあります。

UMAは何を作成することができるのか

シンセティックトークン(合成資産トークン)の発行

UMAシンセティックトークンビルダーを用いてあらゆるものの価格を追跡可能なERC20トークンを作成することが可能です。※価格フィードとDAIを預け入れする必要があります。またUMAシンセティックトークンビルダーは現在(2019年9月24日)Rinkebyテストネットで利用することが可能

シンセティックトークンビルダーはどのように機能するのか?

トークンビルダー(dApp)でトークンファシリティを作成し、このトークンファシリティにDAIを預け入れし、DAIに担保されたシンセティックトークン(合成資産トークン)を発行します。このトークンファシリティは米ドル価格にほぼ連動したDAIによって超過担保されているため、発行されたシンセティックトークンは価格変動によって清算される可能性が低いといえます。※例えばMakerのCDPの場合は価格変動の激しいETHによって担保されているため、ETHの価格に影響されCDPが清算されてしまうリスクがありますが、UMAのトークンファシリティにはこのリスクが小さいということです。CDPの仕組み、使い方については下の記事をご参照ください
またこのスマートコントラクト(トークンファシリティ)は誰もがいつでも担保されているかどうかを確認することが可能です。スマートコントラクトは価格フィードから最新の価格を確認し、担保となっているDAIの量が必要量を満たしているかどうかを確認し、仮に必要量を満たしていない場合はトークンファシリティ内の担保資産を全て凍結(入金も引き出しもできない状態)し、さらにペナルティが課せられます。このトークンファシリティによって発行されたシンセティックトークンの保有者は、この時に保有するトークンの裏付け担保額に加えてペナルティ分も自動で清算されることになります。※つまりスマートコントラクトが正常に機能すればカウンターパーティリスクは発生しないということです。

シンセティックトークンで何ができるのか?

UMAのシンセティックトークンで一体何ができるのかという点ですが、これは応用次第で様々なことができるのではないでしょうか。公式によるアイデアが紹介されていたので、それをいくつかご紹介致します。
  • DAIを担保に人民元(CNY)価格にトラッキングしたトークンを作成し、中国向けのウォレットで利用する。
  • テスラ(TSLA)株の価格をトラッキングするトークンを作成し、DEX(分散型取引所)で販売。→TSLA株をロングしたい取引相手がいれば、ショートする事が可能になります。
  • S&P500のパフォーマンスを支払うPooltogetherのような宝くじdAppを作成する事が可能になります。※PoolTogetherとはみんなで共同で資金を出し合って得た貸出金利を誰か一人が総取りするというdAppです。金利だけが一人に配分され元本は出資者全員の手元に戻るようになっています。使い方については下の記事をご参照ください
さらに発展形として、トークンビルダーのスマートコントラクトのパラメーターを変更する事で、他の種類の合成トークンを作成することも可能です。
  • S&P500とCompoundの貸出金利をトラッキングするトークンを作成し、DAIの代わりにCompoundのcDAIを作成する事で利率(貸出)と利回り(投資収益)を得る事が可能です。
  • Compoundの借入金利(変動します)をトラッキングするトークンを作成し、Compoundで借りている人が負っている金利リスクをヘッジできるようにする事が可能です。
※Compound、cDAIについては下の記事をご参照ください