給与の支払いは年、月、日でもらうものという一般化された概念に疑問を抱いたことはないだろうか。既存のこれら支払い方法は給与の支払い者側の振込作業や銀行の仲介作業等が存在することで月払いや日払いが、現実的にベターな選択肢ということになっている。
今回ご案内する分散型アプリ「Sablier」は、ブロックチェーンネットワークを利用することで制限となっていた仲介者の作業を排除し、「リアルタイムでの継続的な支払い」を可能にするdAppです。※2019年12月にメインネットにローンチ。
今回はSablierがどのようなアプリなのか、簡単に概要をご案内致します。
Sablierとは※β版
Sablierは「継続的な支払い」のためのイーサリアム上のdApp(分散型アプリ)です。このアプリをどのように利用するかは利用者次第ですが、公式によるおすすめ利用方法の一つとして「給与の毎分支払い」が挙げられています。成果が求められる知的労働には向いていないかもしれませんが、リソースのインプットとアウトプットが時間軸の沿って明確に比例して表れるような業務については労働と報酬の関係がよりリアルタイムに反映される新しい支払い方法と言えるのではないでしょうか。
どのように機能するのか
支払いをする人はスマートコントラクトに金額を預け入れておき、事前に定義された支払いレートを設定し、時間の経過に応じて契約通り預金の一部が受取人に割り当てられるようになっています。
上画像にあるように支払い額の設定し、その金額を「1分、15分、1時間、1日」毎に支払うことができるようになっています。
※スマートコントラクトとは?という方は下の記事をご参照ください。
支払いに利用できるトークン
初期段階で支払いに利用可能なトークンはステーブルコインのみであり、「DAI」「USDC」「GUSD」の三択から選ぶことができます。
Sablierメインネット版利用方法
ザクっとSablierの利用方法をご紹介致します。また「決済する側」と「受け取り側」で利用方法及びサイトページが異なりますのでご注意ください。
- 資金決済ストリーム(支払い)を行いたい場合は|https://pay.sablier.finance/
- 資金を受け取る側は|https://app.sablier.finance/
です。
利用可能なトークン
Sablierで利用可能なトークンはβ版とは異なり、DAI、SAI、USDC、cDAI、cUSDCです。債権トークンであるCompoundトークン(cトークン)を利用することができるため、トークンの受け手は元本に加えてストリームされている期間に発生する金利も獲得することができます。
サインイン方法
Sablierへサインイン方法は
- メタマスクなどのweb3へアクセス可能なウォレット
- Wallet Connect
- Coinbase Wallet
の3択です。Wallet Connectについては下記事をご参照ください。
マネーストリーム作成方法(支払い)
ステップ1:Sablier「pay」にアクセス
決済ストリームを行う場合は、まずhttps://pay.sablier.finance/(https://pay←であることを確認)にアクセスしてサインインし、Stream Money を選択
ステップ2:ストリームする条件設定
次にストリーム条件を設定します。
- 送金するトークン選択
- 送金するトークン総量
- 受け手のイーサリアムアドレス(ENSもご利用頂けます)
- ストリーム期間の設定(日、時、秒)
以上の設定を済ませて、最後に「Create Streamを選択→トランザクション承認→取り込み待ち→ストリーム開始」となります。
ステップ3:資金ストリームの確認及び受け手への連絡
ストリームが作成されると、『https://pay.sablier.finance/#番号』と『https://app.sablier.finance/#番号』ページにアクセス可能になり、上画面は送金側が利用する『〜pay〜』画面です。上画像の青色のサークルが現在のストリーム状況を表し、オレンジ色のサークルが受け手の引き出し状況を表しています。もう一方の『〜app〜』は受取人(指定したイーサリアムアドレス)が資金の引き出しに利用するので、『https://app.sablier.finance/#番号』を先方に伝えてください。
画面右上にあるオレンジ色のCancelボタンは、ストリーミング中(つまり青いサークルが稼働中)であればキャンセルして、資金の移動を止めることができます。ただし、ストリーミング期間が終了している場合は、キャンセルすることはできません。(たとえ先方が引き出ししていない状態であっても)
※注意点:リアルタイムで資金がストリームされていくのですが、ダイレクトに先方のイーサリアムアドレスに反映されるわけではありません。一旦Sablier Walletに資金がデポジットされます。先方は現在ストリームされている資金量の範囲であれば好きなタイミングで好きな量を引き出し可能です。
トークンの受け手
トークンを受け取る側は、送信側から指定の『https://app.sablier.finance/#番号』を伝えてもらいサイトにアクセスします。送信側と同じような画面が表示されますが、右上にオレンジ色のWithdrawボタン(引き出しボタン)がついています。
現在ストリームされている範囲内であれば、Withdrawボタンを選択してどのタイミングでもトークンを引き出すことができます。
Sablier情報
- 公式サイト:Sablier公式サイト
- 公式Twitter:Sablier公式ツイッター
- Github:https://github.com/sablierhq/sablier
- Sablierのスマートコントラクト(Github):https://github.com/ethereum/EIPs/issues/1620
- ロードマップ:https://www.notion.so/e6fa6198bea149cd9551679421ae33ec?v=807f6528930e40d694af3bd7b54460fb