Revainは2017年の8月から9月にかけてICOが行われたERC20準拠の仮想通貨で、単位はRです(以降レビュープラットフォームのRevainと区別するためにRと呼びます)。
ブロックチェーン技術の透明性の高さや改ざん・削除ができない特徴を利用したレビューに特化した同名のプラットフォームが開発されています。
仮想通貨Revain(リバイン/R)の最新価格・相場・チャート・評価
仮想通貨Revain(リバイン/R)の特徴
Revainって?
Revainはブロックチェーン技術を基礎とした、次世代のフィードバックのためのプラットフォームです。ユーザーは商品やサービス、企業に関してのフィードバック(レビュー)を残し、報酬を受け取ることが可能です。
すべての人がレビューへアクセスでき、結果として意思決定の際に商品やサービス、企業を適切に選定できるようになる。Revainはそんな世界を目指しています。
既存の評価プラットフォームは?
1990年代のはじめに最初のレビューサイトが登場してから、時代を経てレビューを扱うプラットフォームは特定の領域に特化するようになりました。日本でいえば食を扱う食べログが有名ですが、ホテルや映画や家電などに特化したものがあります。
レビューサイトの本来の目的は人々が商品やサービスに対する意見を共有し、意思決定を適切に行えるようにすることです。それと同時に、多くのプラットフォームがユーザーのレビューや活動の情報を集約し企業に提供することで企業の活動をサポートしています。
このレビューの分野がインターネットの世界に現れてから20年以上が経つわけですが、Revainはいくつかの根本的な問題が未解決のまま残されていると指摘します。
・レビューが改ざんされたり削除されたりする可能性
・レビュアーのモチベーションの問題
・レビューの信憑性
・競合他社などが行う商品イメージを毀損するような偽のレビュー
そしてRevainはこれらの問題を解消しようとしています。
特徴1:改ざん・削除の可能性を無くすRSS(Review Snapshot Storage)
従来のレビューサイトなどでは、運営元が恣意的にレビューの掲載を中止したり、内容を改変してしまう可能性があります。実際に好意的なレビューのみを掲載することで評価レートを操作していたケースや、掲載料を支払っていた企業からの依頼で特定のレビューを削除していたケースが問題になったことがあります。
Revainではレビューの情報をRSS(Review Snapshot Storage)と呼ばれるスマートコントラクトでEthereumのブロックチェーン上に保存することで、レビューの改変や削除を防いでいます。
この際、Ethereumのブロックチェーンにレビューのすべてを保存するのは経済的に非効率なため、ハッシュ化などの処理を行い軽量化された情報がブロックチェーンへ保存されます。
こうして一度チェーンを構成するブロックに取り込まれれば永遠に残るという特性を利用することで、レビュアーのレビューが変更されたり削除されるのではといった不安を解消しています。
特徴2:レビュアーのインセンティブ
質の良いレビューを書くのは容易ではありません。メリットとデメリットを詳細に挙げながら結論を導くには時間と努力が必要です。Revainではレビューに対し明確な報酬を設定することで、レビュアーのモチベーションを維持しようとしています。
ここで説明する必要があるのがRとRVNです。
RevainにはRとRVNの2種類の通貨があります。一般的な取引の対象になる流動性のあるほうがRで、Revainプラットフォーム内部でのみ利用されるトークンがRVNです。
- R
プロジェクト当初は資金を集めるために利用し、その後はBTCやETHなどの一般的な仮想通貨と同様に取引の対象となることが想定されて作られた通貨です。ブロックチェーンに関連する過去のプロジェクトから判断し、現在流通する仮想通貨と同じく投機的な側面が強くボラティリティの大きな通貨になるだろうと考えられました。 - RVN
報酬として利用するトークンはボラティリティが少ない方がよいとの考えで生まれたのがRVNです。利用の場をプラットフォーム内に限定し、投機の対象にならないように設計されています。そして価値を一定に保つため、RではなくBTCとの固定レート(1RVNは0.0001BTCと等価)が設定されています。
レビューを行うとRVNが報酬として支払われ、RVNはRに変えることで市場で取引することが可能です。
RVNでの報酬にはレビュアーに対するインセンティブとしての働きだけでなく、レビュアーが自身のレビューを真剣に考えさせる役割も期待されています。
特徴3:信憑性のあるレビュー
Revainプラットフォームではレビューの信憑性を確かめ、商品や企業イメージを損なうことを目的とした悪意のあるレビューを排除するために様々な取り組みが行われています。
KYCシステム
KYCとはKnow Your Customerの略で、顧客の身元調査を意味します。仮想通貨の世界ではマネーロンダリング対策で行われることがありますが、Revainではレビュー元の実在証明のために行われます。これにはレビューの発信源を特定し易くするだけでなく、競合他社からではなく正当な顧客からのレビューであることを証明する意味合いがあります。また、同一人物が複数のアカウントを作成し商品の評価を操作するのを困難にします。
レビューのフィルタリング機能
Revainでは投稿されたレビューは2段階の評価プロセスを通ることになります。
- AIによるフィルタリング
第1段階のフィルターとしてIBMのWatsonを利用したものが用意されています。このフィルターは機械学習とニューラルネットワークをベースとしたシステムで、既に同様のものがInstagramやロシアのSNSであるVKでも実装されています。Watsonを利用することでレビューの文章に対して感情的な側面や記述のスタイル、社会的傾向などの分析が可能になります。現代の技術ではAIなどを利用し、人間が書いたような文章を機械的に生成することが可能ですが、この様に様々な側面から文章を分析することでそういったものを排除できます。
ユーザーの位置情報や過去の活動履歴(投稿履歴やレビューに対するフィルタリングの結果など)、レビューの個性やその他の材料を利用した、独自の機能も開発されています。 - 企業によるフィルタリング
第1段階を通り抜けたレビューには第2段階として企業によるフィルタリングのプロセスが用意されています。インターネット上のレビューは企業イメージを大きく変化させることが可能なため、ユーザー側のみならず企業にとっても重要です。そのため企業が関与できる仕組みになっています。
そしてこの2段階のフィルターを通り抜けたレビューにのみ報酬が支払われます。
ここで気になるのが、2段階目の企業によるフィルタリングが恣意的に行われないかという点です。Revainでは下記の対策が用意されています。
- 企業のフィルタリング結果に関わらずレビューは公開されます。フィルタリングは報酬の発生に関してのみ影響を与え、企業はレビューを非公開にすることはできません。
- 企業がレビューをフィルタリングのプロセスで弾く場合は、レビューに対してコメントを付記する必要があります。弾かれたレビューはこのコメントと共に公開されることになります。
- 拒否されるような内容ではないとレビュアーが考えた場合、異議申し立てが可能です。
この企業が関与するフィルタリング機能ですが、企業は第2段階に関与するだけでなく第1段階の自動でのフィルタリングの際に利用できる条件の設定が可能です。
例えば、レビューの際にはこういった写真を付けて欲しいといった要望を条件として設定することでそもそも写真のないレビューを第1段階のフィルターで効率よく弾くことができます。
フィルタリングに対する異議申立てとペナルティ
異議申し立て手続きでは、プラットフォーム内で評価の高いユーザーの合議体に対してレビュアーが弾かれるようなものではないと証明することができればレビュアーに対して報酬が支払われます。そして、企業に対してはRF(詳細は後記)の10倍の費用がペナルティーとして課され警告が与えられます。
この警告は3回まで許容されており、4回目の警告を受けた場合、企業は二度とRevainプラットフォームを利用できなくなります。
レビューに関する罰則は企業だけでなくユーザーに対しても用意されています。
・2週間の期間内に3つのレビューが自動フィルター(第1段階のフィルター)で弾かれた場合
・2週間の期間内で5回、ユーザーのレビューが第2段階のフィルターで企業から弾かれた場合
以上の場合はユーザーに対して警告が行われ、計4回の警告でユーザーはプラットフォームから締め出され、資金も凍結され引き出し不可能になります。
特徴4:掲載手数料
レビューは企業にとっても重要であり、企業の評価を示す重要な指標として扱われてきました。レビューには評判の良くない企業を市場から排除する一方で、評判の良い企業の収益を向上させるという市場を規定する働きもあります。
更に、レビューは企業にとって力強いフィードバックツールであり、商品の肯定的な側面を浮き彫りにし、弱い部分を改善させる力があります。また、レビューは市場調査の手段として利用することもできるなど、企業にとって価値のあるものです。
そのため企業がRevainの評価システムを利用するためには手数料を支払わなくてはなりません。
レビュー費用(Review fee, RFと略される)と呼ばれる手数料には、ユーザーに対する報酬(User reward)と、Revainプラットフォームへの手数料(Platform fee)が含まれています。Revainはこのプラットフォーム手数料を運転資金として利用します。企業から入るレビュー費用は9割がユーザーに対する報酬で構成されており、プラットフォームが手数料として得るのは全体の1割です。
特徴5:レビューに関する制限
Revainのユーザーが投稿できるレビュー数は1日5件に制限されています。
この点に関し、将来的にはレーティングシステムを導入することで過去の履歴を基に特定のユーザーにはより多くのレビューを投稿できるようにすることも考えられているそうです。
特徴6:将来的展望
家電機器のIoT化が進むことで、現在では人が選定し購入しているような日用品を機械が自動で購入するような時代が来ることが考えられます。その際に商品選定の判断材料としてRevainプラットフォーム上のレビューが利用されることも想定されています。
仮想通貨Revain(リバイン/R)の詳細
発行上限枚数:484,450,000 R
形式:ERC20準拠
公開日:2017年8月
公式サイト:https://revain.org/
公式ブログ:https://company.revain.org/blog
仮想通貨Revain(リバイン/R)の評価
普段利用するAmazonで様々なレビューを目にします。専門的な知識を持った方による有益で評価の高いレビューは商品を購入する際の判断材料だけでなく、別の商品を購入する原因になったり学習の指針になったりもします。しかし同時に日本語を使って書かれているのにも関わらず理解できない文章や、商品を過剰に褒め称える文章も散見されます。このような質の低いレビューを排除したプラットフォームを利用したいと感じるユーザーは多いのではないでしょうか。プラットフォーム内の資産の凍結という過酷なペナルティが存在するRevainなら訳の分からないレビューを視界から遠ざけることも可能かもしれませんね。
しかしSNSが発展した現代では企業が求心力のある人物に対価を支払い、自社の商品のプロモーションを行う場合もあります。こういった言わばプロのレビュアーにとってRevainは魅力的なプラットフォームとはいえないと思います。
Revainのプラットフォーム上でレビュアーは、そのカリズマなどによって異なった扱いを受けず、対等な存在として扱われます。これは報酬システムで顕著に示されており、レビュー1回あたりの報酬額は平等です。プロのレビュアーがその価値を高く評価してくれるプラットフォームからRevainへ移行する可能性は少ないのではないでしょうか。
SNSの普及によりAIDMAモデルなど旧来のものからAISASモデルへの移行が促進されたと思います。これらは消費活動に関するモデルですが、AIDMAがAttention・Interest・Desire・Memory・Actionで購買行動により完結しているのに対しAISASではAttention・Interest・Search・Action・Shareと検索や共有の要素が入ってきています。実際に商品の購入だけでなく、旅行やサービスに関する経験もインターネットでシェアされる世の中であり、発信力のある人がシェアする情報にはレビュー以上の価値があります。これには企業側が想定しなかった価値の再発掘も含まれており、これらの要素を単純にレビューの枠で縛ってしまうのは企業側としてももったいないのではないかと思います。
RoadmapやWhitepaperではレビューの対象をゲームなどに拡大していくことが挙げられており、プラットフォームとして扱うものが増えるのは期待されます。また個人的にはIoTの消耗品や日用品などが勝手に判断して購入される際の判断材料としての情報提供は面白いなと感じました。