Oracle(オラクル)とは?
分散型台帳とスマートコントラクトのユニークな点は、第三者を介在させずに見知らぬ誰かと取引を行うことができるという点にあります。
つまり信用コスト(ソーシャルコスト)を削減することができるということです。
このブロックチェーンの特徴を活かしたユースケースが徐々に増えてきていますが、特に金融市場におけるブロックチェーン利用の進展には目を見張るものがあります。
ブロックチェーンを利用した金融システムのことを総称してDeFi(Decentralized Finance)と呼び、ブロックチェーンを用いたレンディングサービスやデリバティブ・マーケットなど様々な金融商品が現在開発されています。
今回注目したいのはそのDeFiなどのdAppに利用されているOracle(オラクル)について。Oracle(オラクル)とは簡単にいうとブロックチェーンの外側(オフチェーン)にある情報をブロックチェーン(オンチェーン)へと橋渡しをする役割を持ったシステムのことです。
なぜOracle(オラクル)が必要なのか
Defiにはすでに保険のような役割を果たす金融商品も存在しています。例えば予測市場を形成しているAugurやVeilなどがそれに近しい機能を持っています。
AugurやVeilは保険という商品を販売している訳ではないのですが、未来に起こるイベントの結果を予測して賭け金を支払い、その結果に応じた支払いが行われるという仕組みなので、使い方次第では保険に近い働きを期待できます。
例えば「明日の気温は?」などというテーマに対して「明日は〜℃」と選択をしてWETH(ETHをペッグしたERC20)を賭け、その結果から導き出された比率に応じて賭けたWETHが自動的に再配分されます。
この場合、結果を示す『明日は何℃』はオラクルを介して、ブロックチェーンの外側にある現実の出来事、実際の気温情報を参照してブロックチェーン上に結果情報を引っ張ってきます。
もちろんブロックチェーン上に情報があれば、その必要はないのですが天候やニュースなど多くの現実の出来事を配信するサービスはブロックチェーンの外側で配信されていますので、オラクルのようなシステムが必要とされているのです。
Oracle(オラクル)の問題点|誤ったデータ報告をしてしまう可能性=信頼性の低いデータ
上述したようにオラクルとは、出来事の結果を証明する情報源をブロックチェーンの外側、信用のおける第三者に求め、ブロックチェーンへと橋渡しをしています。
ブロックチェーンの外側で起きる現実の出来事を参照する必要のあるdAppはオラクルを通じて、信頼のおける第三者に依存せざるを得ません。この際に、より多くの情報源を参照する方が情報の信頼性は増しますが、参照先が多ければ多いほど当然コストも増加してしまいます。
つまり、信用とコストがトレードオフの関係になっているということです。
例えば手軽なスマホアプリの天気予報などであれば多少誤差があったとしても許容される可能性があるので1つのサービスが提供するAPI(シングルオラクルと呼びます)を通じて情報を取得しても大きな問題にはなりにくそうですが、このデータを保険などの金融商品などのレポートに適用させるとなると、万が一にも誤った情報が伝わってしまうといけないのでそうはいきません。
信頼性の高い情報を必要とするDeFiのようなジャンルでは、オラクルを用いる際に信頼性、コスト面でジレンマに陥ってしまうのです。
DeFiが市場として捉えている予測市場、保険分野、GPSを用いた輸送システム、担保付貸付サービス、法定通貨担保型ステーブルコインなどブロックチェーンの外側にある情報に依存するサービス全般に影響する問題なので、このシングルオラクルの問題点を解消するソリューション技術に注目が集まっています。
オラクルの問題を解消するソリューション技術については以下の記事をご参照ください。↓
※オラクルの問題を解消するソリューション技術については今後追記していきます。