昨年のDeFiの夏からEthereumブロックチェーンに加えて、より安価で早いブロックチェーンが乱立してきました。BSC、HECO、Solana、Polygonなど多岐にわたっています。
そして新たに問題となっているのが、ネットワークを超えた送金の手間です。
BSCからEthereumへ、EthereumからHECOへ。
毎回手数料がかかって、何度も取引する必要があり、ユーザーにとって便利なものとは言えません。
その課題を解決しようとするのがO3Swapです。
O3Swapはクロスチェーンアグリゲーターとして、ネットワークをまたいだ取引をワンクリックで実現します。
今回はO3SwapのMatt Powers氏へインタビューを行い、O3Swapの特徴から、解決する課題、そしてソフトバンクとの提携についてなどお話を伺いました。
ぜひ最後までご覧ください。
O3Swap開発の経緯
Zenism:
なぜO3を開発しようと思ったのか背景を教えていただけますか?
Mattさん:
O3Labsは2017年に東京で設立され、NEOコインのウォレットを開発していました。当時のNEOは「中国のイーサリアム」と呼ばれるほどでしたが、コインを保管する適切なウォレットがなかったのです。
現在はO3Swapの開発に注力しており、チームは東京だけでなく、ニューヨーク、シンガポール、台北にもいます。
Zenism:
なるほど。最初にウォレットを開発して、その後アグリゲーターサービスを開発しているということですね?
なぜアグリゲーターサービスの開発を始めたのでしょうか。
Mattさん:
私たちはDeFiに強く期待しており、その一部となって市場の成長を促進したいと考えています。それがO3swapの開発理由です。
O3Swapの概要
Zenism:
ありがとうございます。では次にO3Swapの概要についていくつかお聞きしたいと思います。
クロスチェーンアグリゲーター機能
Mattさん:
O3SwapはO3 Labsが長年開発してきたクロスチェーン・アグリゲーション・プロトコルです。Metamaskなどのウォレットを接続することで利用できます。
ユーザーはO3Swapを使って、Ethereum、BSC、HECO、NEOなどのチェーンのトークンを取引可能です。
私たちは仮想通貨の交換に際して、BinanceやCoinbaseなどの中央集権的なプラットフォームが必要がなくなると感じています。
近い将来、自分のウォレットをO3Swapのようなサービスに接続し、ウォレットから直接コインを交換できるようになるでしょう。
Zenism:
なるほど。O3Swapはクロスチェーンアグリゲーターで、トークンをBSCからEthereum、HECOに自在に移動できるのですね。
Mattさん:
はい。BSCからEthereum、HECOからBSC、HECOから Ethereum、そんな感じで移動できます。そして手数料の安さが特徴です。
私たちはプロトコルを使用して複数のDEXを検索し、最も安い取引価格を探し出します。そして1回の取引だけで済むのがポイントです。
チェーンをまたぐ場合には、何度も取引が必要なこともありますが、O3Swapを利用すればボタンを1つクリックするだけでいいのです。
O3Swapの技術:3つのモジュール
Zenism:
DeFiのユーザーにとってクロスチェーン取引は非常に便利ですよね。
では技術的な背景についてお伺いしてもよろしいでしょうか?どのようにして異なるネットワーク間でコインを交換するのですか。
Mattさん:
O3スワップには、主に2つのモジュールがあります。
- O3アグリゲーター
- O3ハブ
O3アグリゲーターは、主要なブロックチェーン上に配置され、分散型取引所間で取引価格を比較します。
これは、ユーザーが対応するネットワークの中で最も適切な取引ルートを見つけるためのものです。
しかし、ハブの方は少し違います。
ユーザーにクロスチェーンのトランザクションサービスを提供したり、流動性を追加したり、ステーブルコインのようなコインを預けてO3のリワードを得ることをサポートします。
Zenism:
ハブについてですが、流動性供給者はUSDT/BUSDのようなペアを提供しているのでしょうか?
Mattさん:
そうですね。ハブに預けて流動性を提供している間は、報酬としてO3コインを得ることができます。O3ハブの年利は5月時点で約79%です。
この数字は、ユーザーが増えて流動性が高まるにつれて下がっていくと予想しています。
私のように長期保有派の方で、コインを預けて報酬を得たい方には、後回しにせず、今すぐにでも預けていただくことをお勧めしています。
アイスエイジ・マイニングについて
Zenism:
アイスエイジ・マイニングについて説明していただけますか?
Mattさん:
はい。基本的には、ユーザーはBUSDや、USDTなどのトークンを預けることができます。ユーザーがO3ハブに流動性を提供すると、O3トークンを獲得することができるのです。
現在2つのアイスエイジ・マイニングイベントが開催されています。1つはEthereum上で行われているものです。ユーザーはUSDT/BUSD/HUSDをステーブルコインプールにステーキングする、もしくは単一のO3トークンをステーキングすることで、O3トークンを獲得できます。
もう一つは今週からBSC上で行われています。 ETHのクロスチェーンプールにステーキングする、もしくはO3トークン(BEP20)をステーキングすることでO3トークンを獲得できます。
詳細はこちらからご覧ください。
- https://medium.com/o3-labs-o3-wallet/ice-age-mining-guide-f2da1b640a97
- https://medium.com/o3-labs-o3-wallet/o3-swap-ice-age-mining-2-a4f6c77842c5
Zenism:
付与されるO3トークンはロックされるのですよね?
Mattさん:
イベント期間中(約10週間)は、ステーキングされたO3のみ取り出すことができません。他のLPはアンステークして、好きな時にステーク報酬を請求することができます。 ただしステークプールのすべての報酬は、アンロックが必要です。
Zenism:
私がステーブルコインをO3Swapのプールに入れて、O3トークンを手に入れたとします。その後、売るのに2ヶ月半待たなければならないということでしょうか?
Mattさん:
そうです。理由はO3トークンの価格を守るためです。預けてすぐにトークンを売るようなことはしてほしくないのです。
すべての報酬はトレードできないようにロックされていますが、アンロックした後であれば売ることができます。UNI-LPをステーキングしてO3(ERC-20)をアンロックし、CAKE-LPをステーキングしてO3(BEP-20)をアンロックすることが可能です。
詳細はこちらをご覧ください。
https://docs.o3swap.com/o3-swap-user-guide
ソフトバンクグループの出資について
Zenism:
ありがとうございます。O3Swapにはソフトバンクグループが出資していると伺いました。
Mattさん:
そうですね。シンガポールのソフトバンクから出資を受けました。日本にあるソフトバンクの子会社ですから、私たちはとても期待しています。ソフトバンクの名前は誰もが知っていますし、創業者は日本でも海外でも有名です。
私たちはその投資額を非公開にしていますが、研究開発や、製品をより良くするための開発者の雇用に費用を当てています。
ソフトバンクは、DeFiやブロックチェーンがより成熟し、より多くのユーザーに届くようになれば、成長していくと気が付いているのです。
ソフトバンクのようなエリートパートナーがいることを嬉しく思います。
DeFi市場の課題
Zenism:
ありがとうございます。次にDeFi市場についてお聞きしたいと思います。
現在のDeFi市場の課題は何だとお考えですか?
Mattさん:
DeFi最大の問題点は、先ほど話したクロスチェーン・トランザクションのような相互運用性だと思います。
DeFiには多くのユーザーが集まっているため、ネットワークの混雑やスケーラビリティの低さから、非常に高い取引手数料が発生しています。特にEthereumネットワークは高いですね。
投資家にとっては、レイヤー2ソリューションやサイドチェーンという選択肢もありますが、イーサリアムは未だ最も発展したネットワークの1つです。これらが障壁となって、ユーザーが交換する資産の数を制限し続けていると考えています。
我々の利用するPolyネットワークが提供する新しいレイヤー2ソリューションは、この問題を解決する可能性のあるネットワークの1つだと思います。
また、O3 swapは相互運用性の問題を解決できると考えています。それはビットコイン、イーサリアム、HECO、 NEO、BSCの5つの異なるチェーンに対応するからです。
これらのチェーン間で1クリックで取引できるため、相互運用性を生み出すことができます。
今後のDeFi市場はどのように発展するのだろうか?
Zenism:
ありがとうございます。DeFi市場の将来について、どのようにお考えですか?
Mattさん:
今後もDeFi市場は成長し続けると思いますが、まだ主流ではないと考えています。昨年から2021年初頭にかけて、DeFiが成長して行くのを目の当たりにしました。
ユーザーが増え、投資が行われ、価格が上昇し、より多くの人がDeFi市場や、dAppsを利用するようになると強く感じています。
そして私たちは、その一翼を担いたいと思っています。
また、今回は価格の下落がおきましたが、DeFiはその力を示したと思います。この期間中、おそらく大量の人々が撤退し、売り買いを繰り返していたわけですから。
中央集権型の取引所、特にCoinbaseはしばらくダウンしていましたが、イーサリアムネットワーク上に構築された Uniswapのような非中央集権型の取引所はまったく潰れませんでした。
スマートコントラクトが完璧に実行され、機能していたのです。これは今後のDeFiにとって非常に大きな指標だと思います。
O3SwapがDeFi市場で果たしていく役割
Zenism:
では、DeFi市場の発展において、O3はどのような役割を果たすことになるのでしょうか?
Mattさん:
DEXからの流動性のソースを集約することで、主流のブロックチェーンにおける流動性の断片化と相互運用性の問題を解決したいと思っています。
それにより、ユーザーにとってクロスチェーン取引が直感的になるでしょう。
皆さんに私たちのプラットフォームを「使ってみたい」と思ってほしいですし、ワンストップで取引できる利便性を含めて、ユーザーに価値を提供したいです。
O3Swapは日本市場をどのように見ているのか?
Zenism:
ありがとうございます。それでは最後に、日本市場に関する質問をさせていただきます。O3スワップは、日本市場をどのように見ていますか?
Mattさん:
私たちは日本の市場にとても期待しています。特にアジアはDeFiに大きな恩恵をもたらすでしょう。
日本や韓国のようなアジアのプレイヤーが、DeFiに参加するのを見てきましたが、これは喜ばしいことです。O3も日本の東京で設立されましたからね。
つまり私たちは、日本市場を成長力のある市場だと考えています。
テレグラムを通じて複数の日本のコミュニティと協力してきましたし、日本のパートナーやコミュニティマネージャーとは常に良い関係を築いてきました。
そこでO3を日本に広めたいと思っている人たちのために、イベントやアンバサダーの派遣を行いたいと考えています。
日本のDeFiコミュニティにO3のことを伝えることで、私たちのプラットフォームを使ってもらえるようになると考えています。
Zenism:
ありがとうございます。最後の質問になりますが、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
Mattさん:
日本のユーザーがソフトバンクに続いて、O3に興味を持ってくれることを願っています。私たちには成長の余地がたくさんあり、より多くの価値を提供できるはずです。
まだまだ成長途中の段階ですが、SolanaやCardanoのような、既に大きな価値を得ているコインも初めはそうでした。
私たちO3は新たな取引所への上場をとても楽しみにしています。日本のユーザーの皆さんには、ぜひ注目していただきたいです。
Zenism:
今回はこのようなインタビューの機会をいただき、ありがとうございました。
Mattさん:
どういたしまして。ありがとうございました。
O3Swap詳細
公式サイト:https://o3swap.com/
Twitter:https://twitter.com/O3_Labs
Medium:https://medium.com/o3-labs-o3-wallet