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Tellor|検閲耐性&分散性を重視した分散型オラクル

Tellorとは、検閲耐性&分散性を重視した分散型オラクル、逆にいうと処理スピードとデータ容量を犠牲にしているオラクルともとれますが、オフチェーンデータの参照をどの程度重視して取り込むのかというのは採用するアプリケーションの性質によるものなので、上記のような検閲耐性や分散性を重視する分散型アプリケーションに適した分散型オラクルであると言えます。

なぜ分散型オラクルが必要なのか、この点については下記事をご参照頂ければと思いますが、サクッと言えばオフチェーンデータ(ブロックチェーン外のデータ)をダイレクトに参照してスマートコントラクトへ橋渡しすると誤った情報を反映してしまう可能性があります。ですので、正しい情報のみを選択するオラクルを経由する必要があり、この際に集権化されたオラクル(サードパーティプロバイダーを信用する必要があり、単一障害点となり得る)を参照するか、分散型オラクル(信用するのではなく検証する)を選択するかという選択肢が生まれるのです。

※分散性を犠牲にしたくない理由についてTellorのブログにて、その哲学も含め述べられておりますので、興味がある方はご覧になってみてください。

今回はサクッとTellorを概観致します。

Tellor

Tellorが分散型オラクルとして特に重視している要素は上画像の3点、つまりSimple、Decentralized、Secureです。

Simple

スマートコントラクトへの導入が手軽※導入に興味がある方はコチラ

Decentralized

集権化されたサードパーティオラクルソリューションに依存したくないトラストレスなソリューションを求める開発者向けに分散性を重視

Secure

参照データを検証するためにStaked proof of Workプロトコルを作成して利用している。

Tellorオラクルの機能

Tellorオラクルはどのように機能しているのだろうか、この点についてココで解説します。

Tellorは分散性を保つために、Staked proof of Workプロトコル(※後述します)を活用してデータを提供しています。簡単に言えばマイナー要件としてトークン(TRBと呼ばれるトークンが存在、後述します)のデポジット+経済的インセンティブを設けたPoWによる計算競争で正しい情報提供を促す仕組みです。

Tribute(TRB)の役割

TRBには、以下のようないくつかのインセンティブがあります。

  1. TRBを使用してユーザーが必要な特定のデータを要求
  2. マイナーがチェーン上でデータ送信すると報酬として獲得
  3. 1,000TRBをTellorスマートコントラクトにデポジットすることがマイナー要件となる
  4. 議論(dispute)開始とデータ検証の投票に利用

以上のようなインセンティブを設けることで、仮にマイナーが不正なデータ送信を行った場合に議論を経てTRB徴収というペナルティを課すことが可能になります。

どのようにしてネットワーク攻撃を防ぎ、正しいデータを参照するのか

Tellorオラクルの価値提案のポイントは分散性にあります。つまり、「オラクルが提供するデータに単一障害点がない」ということを重視しているということです。

ゲーム理論を踏まえると、ココで重視されることは「ネットワーク攻撃はお得ではない状態」、「マイナー同士の共謀がお得ではない状態」を作ることではないでしょうか。この点をどのようにして成り立たせているのかを以下解説していきます。

まずは、データリクエストからデータ提供されるまでの一連の流れを以下説明します。

  1. スマートコントラクトからデータ(ETH/USDなどの価格情報など)をリクエスト
  2. データリクエストをTRB報奨金付きでキューに追加※キュー(queue)とは、入ってきた順に一列に並べ、先に入れた要素から順に取り出すという規則をもつデータ構造の一つ
  3. マイナーがPoWで競争し、リクエストデータを提供
  4. Tellorオラクルが、勝者となった5人のマイナーが提供するデータの中央値を参照し、データを提供
  5. 仮にデータが誤っている可能性がある場合は、異議を唱えることも可能です。

3のPoWについてもう少し詳細な情報を加えると、計算競争してTellorのPoWアルゴリズムを先に解決した5人のマイナーがリクエストデータ提供の権利を得ます。その後、マイナーがデータ提供するとTRBトークンがミントされ、報酬としてTRBを受け取ります。※逆にデータをリクエストするにはTRBを消費する必要があります。

このような仕組みですので、ハッシュレートがセキュリティ上のコアコンポーネントではあるのですが、Tellorの場合は他のPoWシステムとは異なり5人の最速マイナーに報酬を与え、そのデータの中央値を参照しているという点も重要なポイントになります。ココでいう中央値とは、平均値ではなく競争に勝った5人のマイナーが提供するデータから選択される値です。

つまり、Tellorはネットワークをセキュアな状態に保つためにPoWシステムに加えて

  1. ネットワークを攻撃しようとすると競争に勝てる3人のマイナーを用意する必要があるため、51%攻撃のコストを大幅に上昇させている。
  2. 参照データは平均値ではなく、中央値の選択ですので極端な値を提出する悪意のあるデータ提供者による操作のリスクを低減している。

ということが言えます。勿論十分なインセンティブが与えられて、十分に分散されていることが前提にはなります。

Tellor詳細

defiprimeというDeFi情報を配信するサイトで、Tellorチームのインタビュー記事が公開されています。興味を持った方はぜひそちらもご覧になってみてください。特に記事後半のDeFi市場の将来像に対するTellorチームの見解、ブロックチェーンを利用する意義に対する彼らの洞察には興味深いものを感じます。

また、Tellorのマイニングに興味がある方はコチラのドキュメントでマイニング方法が記載されておりますのでご参照ください。