イーサリアムの大型アップデート「シャンハイ(shanhai)」が2023年3月に実施予定です。
時価総額2位でもある有名ブロックチェーンのイーサリアムがアップデートされるということで、その内容や影響に多くの注目が集まっています。
この記事では、今回のアップデート「シャンハイ(shanhai)」について、その概要や価格変動など徹底的に解説します。
シャンハイ(shanhai)について解説
シャンハイ(shanhai)の主な目的
シャンハイ(shanhai)の主な目的は、EIP(イーサリアム改善案)-4895を実行することにあります。
EIP-4895とは、PoSの「ビーコンチェーン」にステーキングされている、またはそのステーキング報酬であるイーサリアム(ETH)のロックアップの解除し、引き出しを可能とするイーサリアム改善案です。
2020年12月にPoSに向けて「ビーコンチェーン」がリリースされ、2022年9月に実施された大型アップデート「Mearge(マージ)」で、コンセンサスアルゴリズムがPoWからPoSに移行されました。
そして次のブロックへ検証作業は、32ETH以上をステーキングし権利を得た「バリデーター」によって行われるようになります。
しかし、そのバリデーターがステーキングしたETHとその報酬のETHは、ロックアップされていて引き出せない状態でした。今回のシャンハイ(shanhai)アップデートにより、ついに報酬のETHを受け取ることができるようになるのです。
シャンハイ(shanhai)の実施スケジュール
シャンハイ(shanhai)の実施は、詳しく日程はまだ未定ですが、2023年3月中と予定されています。
イーサリアムメインネットでの本番実施前に、テストネットでの実施も過去に行われており、また今後も予定されています。
例えば2023年2月8日には、パブリックテストネット「ジェジャン」にて実施され成功しており、同月の28日にクローズドテストネットの「セポリア」での実施予定です。
また、「セポリア」後も、メインネットに近いテストネット「ゴエリ」で、一度検証され、万全の状態でシャンハイ(shanhai)実施に臨むことになります。
シャンハイ(shanhai)のその他EIP(イーサリアム改善案)
先述したEIP-4895が主な目的ですが、他にも追加アップデートがあります。
どれも、イーサリアムのガス代を抑えることに関するEIPです。イーサリアムは、ガス代の高騰が問題になっているため、開発者たちもその解決に尽力しているようです。
シャンハイ(shanhai)のEIP一覧です。
- EIP-3651: Warm COINBASE(ガス代関連)
- EIP-3855: PUSH0 instruction(ガス代関連)
- EIP-3860: Limit and meter initcode(ガス代関連)
- EIP-4895: Beacon chain push withdrawals as operations(主な目的)
- EIP-6049: Deprecate SELFDESTRUCT(ガス代関連)
(参考)
シャンハイ(shanhai)後のイーサリアム(ETH)引き出し方法を解説
イーサリアム(ETH)引き出し方法は、2種類あります。
一部出金:32 ETHを超える残高をイーサリアムアドレスに引き出す方法です。バリデーターは引き続き、バリデーションを行うことができます。引き出しの認証情報や有効なイーサリアムアドレスを設定することで自動的に行われます。
全額引き出し:バリデーターとしての役割を終わらせ、全額引き出す方法です。バリデーターを終了するために、署名付きメッセージを送信するなどの手続きが必要になります。
また、ステーキングを解除し、実際に引き出しにかかる時間は「ステーキングを解除する人数」によりため、一概には言えません。
シャンハイ(shanhai)によるイーサリアム(ETH)価格への影響を解説
シャンハイ(shanhai)によって、ETHの価格が上昇するか下落するかは意見が分かれています。
ロック解除による売り圧増加
今のところ、1600万ETH以上がステーキングされています。イーサリアム発行量は、現在約1億2000万ETHですので、10%以上はステーキングすなわち、ロックされているということになります。
シャンハイ(shanhai)アップデートされれば、ロックが解除されるため、売り圧が増加し、価格下落引き起こす可能性が考えられます。
引き出し自由による需要増加
一方で、価格が高騰すると予想する評論家たちも多くいます。
機関投資家や企業など、イーサリアムをステーキングして利息を得たいという需要が多くあるといわれています。
ステーキングするとロックされてしまうデメリットが、今回のアップデートで解消されるため、より買いやすくなり、価格上昇するという可能性があります。
シャンハイ(shanhai)後のEIP(イーサリアム改善案)を解説
今回は、EIP-4895(ステーキングロック解除)以外のアップデートは、比較的小規模なものだけに抑えられました。
その理由として、要望が多かったETHのロック解除をなるべく早く実施するためだといいます。そのために、今回見送られたEIPもいくつかあります。
その1つが、EIP-4844(プロトダンクシャーディング)の実装です。
現在、イーサリアムは、ガス代が高騰するなどのスケーラビリティ問題があります。そこで、解決策として、レイヤー2を用いたRollupなどが開発、運用されています。しかし、Rollupを用いても、他の仮想通貨チェーンと比較してガス代が高くなることが予想されています。
Rollup技術に関してもっと詳細に知りたい方は、以下の記事で解説しています。
プロトダンクシャーディングでは、レイヤー2がレイヤー1に書き込むのに使える専用のトランザクションを導入することにより、より低コストでトランザクションの発行が可能になることが期待されています。
シャンハイ(shanhai)まとめ
今回は、イーサリアム大型アップデート「シャンハイ(shanhai)」について、解説しました。
シャンハイ(shanhai)は多くの人に注目されており、その成否や価格変動によって他の仮想通貨にも影響が出る可能性もあります。
特に、イーサリアム保有者の方は、その動向によく注意していきましょう。