TomoChainの今に迫る!|ホーチミンオフィス代表Thuy Pham氏インタビュー

取材レポート

2018年12月にイーサリアムブロックチェーンから独自メインネットへと移行を果たしたTomoChainの今を追うべく、Zenism取材班がTomochainホーチミンオフィス代表Thuy Pham氏を訪ねた。今回はその際に伺ったTomoChainの現状について対談形式でご紹介致します。

TomoChainの概要について

https://tomochain.com/

Zenism取材班(以下Z):まず簡単にTomoChainについてご紹介いただけますか?

Thuy Pham氏(以下T):2年前の2017年にTomoChainはスタートしました。ICOでは成功を収め、トークンセールを通して1000万ドルを調達しました。その後はプロダクトの開発に専念し、マーケティングに大きな予算を割くようなことはしませんでした。2018年の12月に立ち上げたメインネットは、しっかりと順調に稼働してきています。

TomoChainのコンセンサスシステムなどのメカニズム(※PoSV)に関してはご存知かもしれませんが、150のマスターノードがネットワークを管理しています。ブロック生成時には、ランダムに選ばれた他のマスターノードの確認が必要なダブルバリデーションを採用しています。処理速度も速く、2000TPS、1秒間に2000のトランザクションを処理できます。これに関してはEthereumやBitcoinと比較されても負けるものではありません。ビジネスも順調ですし、エンドユーザーの方にブロックチェーンをより簡単に使っていただけるようTomoZも立ち上げました。

トークン発行サービス『TomoZ』

https://tomochain.com/tomoz-protocol/

Z:TomoZとはトークン発行サービスですよね。どのような用途を想定して作られたサービスなのでしょうか?

例えば、KOL(※Key Opinion Leaderの略称で、影響力のある専門家などを指します)ビジネスなどで収益化を図る際に利用していただいてもいいですし。プロトコルもシンプルで、10分程度あればトークンの発行ができるのではないでしょうか。費用も安い(※20TOMO)と思います。

そういった面からもKOLのコミュニティにTomoZが広がればと考えています。また、ポイントサービスにも力をいれています。ベトナムなど東南アジアではポイントサービスはとても人気があり、多くのeコマースでも採用されています。ただし、顧客が取得したポイントを利用し辛いなど、伝統的なポイントサービスには問題があります。中には取得後1年間使えないものもあるぐらいです。こういったものにブロックチェーンを活用し、流動性を高め、企業のユーザー獲得に貢献できないかと考えたわけです。TomoZを利用したトークン化は、企業のこういった顧客層の拡大にも使っていただけると考えています。

またトレーサビリティや金融といった異なる市場での企業向けのアプリケーションなどもテストしようとしています。私自身はホーチミンのオフィスで、銀行などの金融機関や、企業に対してTomoChainのソリューションをご紹介するなど事業展開も担当しています。今までのところ、技術に関して興味を持っていただけるなど、反応は良好です。しかし、こういった企業向けの取り組みは、まだ初期段階にあると思っています。技術に関してはご存知であっても、どう利用するのかがまだ分からないという様子です。そのため、我々は役員レベルの方々にブロックチェーン入門講座のようなことを行うなどし、コンサルタントのような立ち位置から、企業内でのブロックチェーン戦略策定のお手伝いをしています。こういったことは、まだまだ時間がかかるでしょうね。

Z:一般企業向けへの導入となるとまだ早いということですね。

T:そうですね。先程のものとは別に、ブロックチェーン技術に明るいスタートアップ企業に対する取り組みも行っています。中には5人から10人と規模が小さいものもあるのですが、彼らにはビジネスのアイデアや、ホワイトペーパーもあるんです。ただ、ブロックチェーン技術に関するより高度な専門知識を必要としていたりするので、TomoChainがソリューションを提供するといった具合です。

一般ユーザー向けでいうと、DAppに関する競争力も評価していただいています。DAppの数は合計で18だったと思います。ボリュームは現在までの合計で1800万ドルですね。アクティブユーザー数は1日あたり2,000程です。

DAppの領域には将来性を感じています。魅力的なDAppゲームの開発者と連絡をとったりもしています。TomoChain上で展開していただくため、収益化のためのマーケティングをサポートしたりも。そのため、Tronから我々のプラットフォームへ移ってくる開発者の方もいらっしゃいます。

Z:Tronからですか?!

T:はい、発表に関しては開発者の方から行われると思いますが。こういった取り組みも行っていますし、ゲーム向けのハッカソンなども開催しています。TomoChainはパブリックのブロックチェーンで、インフラもしっかりとしているのでチェーン上で稼働するアプリケーションを増やそうとしています。

Z:話は脱線しますが、TRC21についてお伺いしてもよろしいですか?

T:一つの規格ですね。ガス代の支払いがEthereumとは異なり、そのTRC21トークン建てになるという。そのため、TOMO自体に関しては知る必要がありません。こうして我々はブロックチェーンをシンプルにしていきたいと思っています。

Z:TRC20トークンはTOMOでトランザクションフィーを支払い、TRC21トークンの場合は、TRC21トークンそのもので支払うことができるということですね。 少し気になっていたのですが…TronにもTRCという略称の規格がありますね

T:我々のTRCは「TomoChain Request for Comments」の略語なんです。

TomoChainのステーキングについて

https://tomochain.com/tomo-staking/

Z:TomoChainのステーキングについてお伺いできますか?

ウォレットなどを通してTOMOをステークしていただくことが可能で、利率は78%程、Coboウォレットとも提携しています。マスターノードを運営する場合は2030%になります。現在は全ノードの半分程度がステークしています。他にはソフトステーキングなどもあるのですが、ご存知でしょうか。

Z:ソフトステーキング…いえ、初めて聞きました。どのようなステーキングのことを指すのですか?

T:TOMOKuCoinにもリストされているんですが、ソフトステーキングというサービスをKuCoinが立ち上げたんです。彼らのプラットフォーム上でTOMOを所持しているだけで利息が発生するというものですね。

Z:所持しているだけでですか?資金をロックしたりすることなくということですかね?

T:ロックアップの期間がないので、取引したいときにはできるというものです。KuCoinは管理しているTOMOで、TomoChainのマスターノードを5つ運用しているため、利用者は受動的な所得を得られるというものです。

Z:なるほど、ライトユーザーでも難なく利用できそうな仕組みですね。ちなみに、TomoChainのマスターノードになるためにはどれくらいのTOMOが必要になるのでしょうか?

T: 5TOMOですね。それでも候補者になれるだけで、マスターノードになるには投票されることが必要ですが。

Z:マスターノードの数は上限に達しているんですよね

T:そうですね

Z:新たな候補者がマスターノードになるための条件は?

T:パフォーマンス次第かと。私もTOMOのホルダーなので投票ができるのですが、パフォーマンスが高く、活発であれば信頼に繋がり投票しようかという気になります。具体的には、5TOMOで候補者になり、ブロック生成やバリデーションのプロセスを行います。有権者はその候補者のパフォーマンスなどを見るんですね。ただ、評判といった要素が影響したりもするのではないでしょうか。KuCoinなど有名なところや、投資ファンドなど資本がしっかりしているところといった風に。また、我々もリスク管理の側面から、デューデリジェンスを行っています。※デューデリジェンスとは、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査することを指します

Z:良いレートですね。

DeFi(分散型金融)について

Z:分散型金融(DeFi)関連のプロジェクトとの提携などは検討されてはいないのでしょうか?

T:DeFiのプロジェクトとの提携にも関心を持っています。Constantといったレンディングサービスを行っているプロジェクトとも提携したりしています。現在はTOMOを担保として預託することで資金の借入を行うことができ、さらにTomoSwapを活用すると借入した資金でさらなるTomo購入が可能です。※利用方法はこちらで詳しく紹介されています。

またFTXというクリプトデリバティブ取引所にTOMOがリストされています。

Z: ステーブルコインやDEXの開発などのご予定はあるのでしょうか

T:ステーブルコインには関心があります。しかし、まずは市場規模の拡大が優先だと思っています。市場規模が大きくなれば変動の幅も大きくなるので、そういった場合にはステーブルコインなどが必要となるでしょうね。DEXについては、今年の終わり頃までにはローンチする予定です。TomoXというプロトコルがあり、現段階ではテストネットですが、使っていただくことも可能です。ブロックチェーンを広く皆様に、簡単に使っていただくというのが我々のビジョンですので。

Z:エンタープライズ向けにプライバシーを考慮した技術やプライベートチェーンの開発などはあるのでしょうか?

T:我々はパブリックなブロックチェーンなので、非中央集権化の力にこだわりたい。というのが正直なところなのですが、内容次第だと思います。企業にはプライバシーに関する懸念があり、パブリックというものを恐れがあるのはわかります。そのため、プライベートなブロックチェーンを構築するという妥協も可能ではあります。これにはいい側面もあり、プライベートなもので知見を蓄積していただいてから、パブリックなものに移行するということも可能です。現時点では研究段階ですが、プライバシーに関する技術もあります。パブリックなブロックチェーンへの攻撃といった懸念だけでなく、情報の中にはオンチェーンより、オフチェーンで保持したいものもあるでしょう。実際にパブリックでありながらもプライバシー性を確保しているユースケースも存在します。ブロックチェーン技術は新しいものですが、技術の進歩が早いので、競争力を維持するためにも様々な技術に対してキャッチアップしていく必要があると思います。

今後の計画について

Z:今の課題を見据えた上で、今後の方針についてお伺いできますか?

T:現状、まずはTomoChainのユーザーを増やすことが必要です。そのためにはウォレットへの統合や、DAppゲームなどとの提携が必要と考えています。他にも、TOMOを決済手段として活用していただけるeコマース企業との提携を通し、実際にTOMOを使っていただける機会の創出なども。これに関しては、現在WisePassというスタートアップと提携しています。ライフスタイルメンバーシップというんですが、WisePassはメンバーシップのパッケージ販売を行っています。例えば10ドル分のメンバーシップで、13つのシンハービールがもらえるものなど。シンハービール1つが3ドルぐらいなので、かなり安いんです。このメンバーシップのパッケージ購入にTOMOを使っていただけます。ビールの他にもスパやマッサージ、コーヒーなどもあります。WisePassとは一緒にイベントも行っており、そこでTOMOをエアドロップを行うこともあります。実際にTOMOのウォレットを使っていただき、ビールの支払いにTOMOを使っていただくなどの経験をしていただく。こうしたものを通し、我々のアプリをインストールしていただける新規ユーザーの創出を図り、裾野を広げていこうとしています。

これと同時に先程申し上げた企業向けにソリューションを提供するといったことも行うという形です。企業に働きかけ、戦略パートナーなどになっていただくには時間がかかりますが、手応えは感じています。刺激的な時間を経験していると感じていますし、将来的には中国や韓国にも拡大させたいという思いもあります。パブリックのブロックチェーンでは、東南アジアにおいて優位な状況ですし。

※追記:ゲームやDAppエコシステムの拡張、TomoChainアセットを暗号資産、伝統的な金融システムへの統合、Tomo Walletを介した流通とオンボーディング能力の強化、Tomo DEX(現在はhttps://crypto.com/en/index.htmlを通じてクレジットカードでTOMO購入可能)、企業向けフィンテックプラットフォームを模索していく

Z:日本のマーケットについてはどのように捉えているのでしょうか

T:日本のプロジェクトの方とお話する機会もあるのですが、難しいというお話を伺うことがあります。例えば取引所をやりたいとなってもライセンスが必要で、そのライセンス取得に際しては資金面などで要件を満たさなければなりませんよね。暗号資産の取得に際してもハードルがあるのではないでしょうか。また、皆さん仮想通貨への投資に対して保守的になってきているのかもしれません。それでも仮想通貨業界において、日本が主要な市場であることは変わりません。我々も日本における規制などのニュースはチェックします。法人などの企業に関しては、日本からのお問い合わせもありますし、他のアジアのマーケットと比較してよりオープンなのかもしれませんね。また、興味だけではなく何かしらのお考えをお持ちであるという点では、他のアジア、ベトナムやタイなどの東南アジアといったマーケットとは異なると思っています。そのため、日本のユースケースを持ち帰り、自国で適応するなどといった人もいますね。

Z: ありがとうざいます。最後にTomoChainの「Tomo」とはどういう意味なのか教えていただけますか?

T:明日(Tomorrow)という意味です。

Z:日本語で「とも」というと、友達という意味だったりするので、日本語かとも考えていたのですが、明日という意味だったのですね

T:名前のせいで、TomoChainが日本のプロジェクトだと間違われることもあります。

Z:そうなんですね、ありがとうございました

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