VeilはAugur上に構築されたP2P予測市場およびデリバティブを扱うプラットフォームです。
Augur(オーガ)とは、Ethereum(イーサリアム)上の予測市場プロトコルであり、Augur上で誰もが予測市場を作成、取引、その結果を発表報告することができます。Veilの目的はこのAugurをより使いやすく便利にして広く普及させていくことにあるようです。Augurは群衆の知恵、つまり参加者の知恵を借りて未来予測を行うという仕組みですので、より多くの参加者が集まれば集まるほどその機能を発揮すると考えられます。※James Surowieck氏著「The Wisdom of Crowd」(邦題:みんなの意見は案外正しい)にあるように、多様性のある群衆が未来予測をすると予測の精度が高まるという理論を元にした考え方です。
デリバティブ(金融派生商品)とは、各種金融商品(株式、債券、外国為替、預貯金等々)のリスク低下や逆にハイリスクハイリターンを追求する手法として考案されたもので、先物取引やオプション取引やそれらを組み合わせた多種多様な取引が含まれます。
デリバティブ市場にブロックチェーンを導入することで、これまで参入できなかった層がアクセス可能になったり、スマートコントラクトにより契約作成コストの削減、カウンターパーティリスク低下という効果を期待できます。
ブロックチェーンを用いた金融システム「DeFi」の記事もぜひご参照ください。
Veilの特徴
Veilはnon-custodial(管理者なし)プラットフォームです。Veil上での取引を円滑に行うためにVeil Ether(WETH(wrapped ETH)をフォークしたもの)とVirtual Augur Shares(取引用に事前承認済みのwrapped Augur sharesのこと)を利用します。詳細はこちらをご参照ください。
Veilにリストされている全ての市場はAugur内の市場として扱われます。Veilを利用するにはデスクトップPCならMetamask、モバイル環境で利用するならCoinbase Wallet(iOS、Android対応)が必要ですので、利用したい環境に応じて事前に準備しておきましょう。
実際に利用したい方は以下の記事を参考にしてください。
取引をより速く、より安く:0xプロトコルを利用
イーサリアムのトランザクション速度は今のところ満足できるレベルとは言い難いのですが、Veilではこの問題に対処するために0xプロトコルを利用し、送信時のトランザクション数を最小化、取引速度を高速化しています。またオフチェーン上でオーダーを作成したりキャンセルできます。ただしイーサリアム上のdAppなのでイーサリアムのパブリックチェーンに記録する際にはガス代はかかります。
即時で決済することができる
Augurの非中央集権型オラクルシステムはマーケットが正しい答えを導き出せるように機能し、トラストレスなネットワークを構築する上で必要なコンポーネントではありますが、決済完了までに数週間かかってしまうという問題も抱えています。Veilでは市場終了と同時に保有しているAugurをETHに引き換えることができるようにinstant settlemet(即時決済)と呼ばれるサポート機能を紹介しています。
この機能はAugur上で正しくレポートと決済がなされるという前提で、Augurでの決済完了を待たずに、レポートされた時の価格でユーザーが保有しているAugurをVeilに売却することができるというものです。VeilがAugurのシステムを信じているからこそできる仕組みですね。この機能はオプションで選択可能になります。
Veil利用方法は3種類
Veilを利用するには「Veil」、「Veil pro」、「Veil API」の3つのUIが用意されています。可能であれば全てのタイプを試してみて、自身の用途に適したものを選択されると良いかと思います。
※Veilのメインネットローンチは2019年1月15日です。それまではご利用いただけませんのでご注意ください。メインネットアカウントの早期登録受付は始まっていますので、事前登録しておきたい方はこちらからお申込みください。
Veil
簡単に速く取引できるように最適化されたUIです。デフォルトで設定されているUIです。
Veil pro
名前の通りプロ向けの仕様です。頻繁にトレードされる方向けのUIです。
Veil API
アルゴリズムトレーダー、プログラムトレーダー向けのREST APIです。
Veilがサポートしているマーケット
今後多くのマーケットリストを計画しているようですが、メインネットローンチ後すぐにご利用いただけるカテゴリーはまだ少ないようです。
- 暗号通貨デリバティブ
BTC、ZRX、REPを取り扱い予定。ロング、ショートのレバレッジ取引
- イーサリアム・ネットワークヘッジ商品
Veilマーケットではイーサリアム上のガス代やハッシュレートをデリバティブ(金融派生商品)として扱うことができます。マイナーがハッシュレートリスクのヘッジ先として利用することもできますし、リレイヤー(0x参照してください)がガス高騰に対するヘッジ先として利用するなどが考えられます。
- Grinマーケット
Veilと同日(2019年1月15日)にメインネットローンチするGrin(mimblewimbleプロトコル採用の匿名通貨)の価格やハッシュレート、重要なネットワークイベントなどを対象としたマーケットを取り扱う予定です。
- アカデミー賞マーケット
これはα版でも利用可能でした。Veilチームは映画好きのようで、2019年2月24日の第91回アカデミー賞でどの作品が受賞するのかを予測してトレードすることが可能です。この辺りのトレードの仕組みは上でリンクしたAugurの記事を参照してください。
Veilの詳細
公式サイト:https://veil.co/
公式ブログ:https://medium.com/veil-blog
公式Twitter:https://twitter.com/veil
Discode:https://discordapp.com/invite/aBfTCVU