現在DeFiやNFTを牽引するEthereumですが、手数料の高騰や、スケーラビリティなどさまざまな課題を抱えています。
Ethereumの課題を解決し、より多くのユーザーがブロックチェーンを使えるようにすることを目的としたプロジェクトがTomoChainです。
TomoChainはほぼゼロ円の手数料と、Ethereumの80倍ほどのスピードを特徴としています。
今回はTomoChain代表のLong Vuong氏にインタビューを実施。
TomoChainの魅力から、DeFiやNFT市場についての考え、そして今後のTomoChainの果たす役割についてお話をうかがいました。
XEMの開発からTomoChainに至る経緯とは?
-なぜTomoChainを開発しようと思ったのか経緯を教えていただけますか?
Long Vuong氏:
私が暗号資産やビットコインに関わり始めたのは2014年のことです。当時はマサチューセッツで経済学の博士号を取得するために勉強していました。
ビットコインに代わる新しいパブリック・ブロックチェーンを構築しようとする人々と出会い、ブロックチェーン産業には多くの可能性があると気がついたのです。そこで私は、NEMという新しいパブリック・ブロックチェーンを協力して開発することにしたのですが、これがかなりの規模になりました。
2015年にベトナムに戻り、テクノロジーに関するスタートアップを立ち上げたいと考えて、2016年半ばにTomoChainを立ち上げます。
まだビットコインが3〜5万円で、Ethereumがメインネットを開始した直後だったので、暗号資産の時価総額は非常に小さかったと思います。
当時からEthereumは遅く、取引やスマートコントラクトを展開するには高額な費用がかかっていました。そこで私たちは、Ethereumに代わるようなパブリック・ブロックチェーンを作ろうと決めたのです。
分散性を保ちながらも手数料が低く、スピードも速いパブリックブロックチェーンを作りたい。それが2017年にTomoChainを始めた理由です。そして2018年12月にメインネットを立ち上げました。
TomoChainの特徴:TomoX、TomoP、TomoZプロトコルについて
-ありがとうございます。Ethereumの課題を解決するというプロジェクトはいくつもあります。その中でTomoChainの違いはどこにあるのでしょうか?
Long Vuong氏:
確かにEthereumの課題を解決して、より速く、より安くしようとするプロジェクトは私たちだけではありません。
2017,18年に始まった新しいパブリック・ブロックチェーンはたくさんありますし、BSCやその他のブロックチェーンのように、最近立ち上げて大成功を収めたものもあります。
ここからが本題ですが、第一にTomoChainは非常に分散化されていて、安全性も高いと思っています。Binance、Kucoin、CoinGeckoなどがマスターノードとしてTomoChainをサポートし、インフラを維持しているからです。
またTomoChainはパブリック・ブロックチェーンが本当に良いものであるための2つの条件を満たしています。それは安全であることと、分散化されていることです。これが私たちの強みだと思います。
-TomoX、TomoP、TomoZについて説明していただけますか?
Long Vuong氏:
TomoXは分散型取引所プロトコルです。TomoChainを活用することで、Ethereumより早い取引体験が可能です。
また現在のDEXの多くはオーダーブックを中央のサーバーに保管して、取引をしています。しかしTomoXは完全に分散化されることを望んでいるので、全ての取引をチェーン上に保存し、マスターノードが検証します。
特徴的なのはTomoXプロトコルに新しい「リレイヤー」をスピンアップすることができることです。十分な流動性が供給されると、すべてが共有され、人々がTomoChainに参加できるので非常に豊かなエコシステムになると考えています。
またTomoZはTomoChainのエコシステムにとって非常にユニークな機能です。
我々はTomoZプロトコルを使って、企業などが独自のトークンを持てるようにしていますが、取引手数料は独自のトークンで支払うことができるのが特徴です。
Ethereumでは、取引手数料を支払うためにETHが必要になります。例えば10ドル相当のUSDTを送る場合でも、手数料を支払うためにはETHが必要です。
TomoZはステーブルコインを発行すれば、そのステーブルコインで手数料を支払うことができます。つまり、手数料用に通貨を所持しなくてもいいのです。
また、TomoPというプライバシープロトコルにも取り組んでいますが、こちらはまだ開発中です。1年以上前から取り組んでおり、現在は最終テストの段階にあります。
パブリック・ブロックチェーンは非常に透明性が高いですが、自分のアカウントや身元を明らかにしたくはない場合もありますよね。そこで、TomoPは、自分の取引やアカウントを隠したいときに使うプライベート・プライバシー・プロトコルです。
DeFi市場の展望とTomoChainの果たす役割
-TomoChainは現在DeFiに注力していると思いますが、DeFi市場の課題は何だと思いますか?
Long Vuong氏:
DeFiは、暗号資産にとって本当に大きな市場の一つだと思います。多くの可能性を秘めていますが、私たちはまだ新しいユーザーにDeFiに参加するようアプローチしている段階です。特に日本やベトナムなどの国では、多くの人がいまだに伝統的な金融システムを利用しています。
2つ目の課題はオラクルです。チェーン上の正しい情報をどのように得るか、また外部からの情報をどのように得るかということです。情報とスマートコントラクトを活用して、新しいアプリケーションを構築できるのかが課題になります。
-DeFiは将来的に普及するでしょうか?
Long Vuong氏:
そうですね。DeFiや暗号資産市場には無限のチャンスがあると思っています。
その理由は、現在の市場がアメリカ、南米、ヨーロッパ、アジアなど、世界中の人々が同じ土俵に立っているグローバルマーケットであり、人類の歴史の中でもユニークなものだからです。
そしてこの市場では、誰もが同じ土俵に立っているからこそ、トレードをしたい人、意欲的な人に有利なのです。それが多くの人を惹きつけているのだと思います。
しかし同時にDeFiは自分のお金をコントロールすることを目的としています。だから、もしミスをしてお金を失っても、誰にも文句を言えません。これはコインの裏表のようなものです。
-TomoChainは、DeFi市場でどのような役割を果たそうと考えていますか。
Long Vuong氏:
TomoXに加えて、我々はLuaSwapという流動性プロトコルにも取り組んでいます。すでにTomoChainでローンチされており、流動性プールも稼働しています。LUA、TOMO、USDT、SRMなど複数のトークンが利用可能です。
今後は新しい革新的なプロジェクトに焦点を当て、投資をすることが非常に重要だと考えています。
投資をすることで、TomoChainの上にたくさんの革新的、実験的な良いプロジェクトが生まれるほど、将来的には多くのユーザーに利用していただけるでしょう。
-またTomoFinanceというステーブルコインを発行するプロジェクトもあります。TomoChainのDeFiエコシステムにとって重要なプロジェクトになると思いますが、TomoFinanceに期待することはありますか?
Long Vuong氏:
TomoFinanceの目的はTOMOを担保にして、1ドルと等しい価値になるように調整された、新しい分散型のステーブルコインを作ることです。アプローチはEthereumのMaker DAOに似ています。
TomoChainに分散型のステーブルコインができたら、LuaSwap上でTAI-USDTプールやTAI-TOMOプールを創出することができます。
次のステップは、TAIをどのようにしてエンドユーザーに提供するかです。TAIはさまざまなDappsに統合されているので、TomoChain上のゲームに最適なソリューションになると考えています。
実際にステーブルコインであるTAIは、カウンターパーティーリスクが非常に少ないという点で有利です。例えば、USDTのようなステーブルコインを考えると、これは中央集権的なステーブルコインであり、企業によってバックアップされています。
Tether社は評判の良い会社だと思いますが、同時に規制上の問題も抱えています。分散型ステーブルコインであれば、そのような問題を回避することが可能です。
NFT市場の展望とTomoChainの果たす役割
-NFTがこれだけ普及している現状をどう見ていますか?
Long Vuong氏:
NFTは巨大な市場であり、ゲームや様々な種類のゲームにも利用できると思います。ギャンブルのような単純なものから、エンターテイメント性の高いものまで、非常に大きな分野です。
NBAのような有名なスポーツチームがNFTゲームを販売しており、このような取り組みは私たちにとって青写真になります。
有名人やスポーツチームがNFTゲームに参加することになれば、ブロックチェーン業界全体として多くのユーザーを獲得することになるでしょう。また従来のようなゲーム体験だけでなく、NFTによって可能になる非常に新しい体験も生まれるはずです。
-TomoChainはNFTに対するソリューションもあるのでしょうか?
Long Vuong氏:
NFTは、人々がアーティストや開発者にお金を支払う方法を大きく変える可能性があります。だからこそ、NFT分野にも力を入れていきたいと思っています。
加えてTomoChainはスマートコントラクトのプラットフォームです。
我々はEthereumよりも高速で、安い手数料でEthereumのソリューションのほとんどをTomoChainで利用することが可能です。
TomoChain上に良いプロジェクトに参加していただいて、NFT音楽やゲームを発展させる準備ができています。
日本市場について:日本のプロジェクトとコラボレーションしていきたい
-TomoChainは日本の市場をどのように見ていますか?
Long Vuong氏:
私たちはBacoorとパートナーシップを結んでいます。BacoorはTomoChainのアプリを作っていますし、TomoChainを使ったTomoFinanceにも関わっています。
そのパートナーシップを活かして、TomoChainの認知度を日本のマーケットに広げていきたいです。私たちのソリューションやサービス、ノウハウをパートナーに提供することで、日本市場で一緒に仕事をしたいと思っています。
-日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
Long Vuong氏:
私は何度か東京を訪れたことがあります。私たちは日本の文化が大好きですし、マンガ、アニメなどすばらしいカルチャーがあります。だからこそ、NFTやブロックチェーンゲームは、日本人にとって大きな役割を果たすでしょう。
また日本でTomoChainを活用してもらうには、日本のパートナーが必要です。現在はベトナム、アメリカに注力していますが、今後は日本のプロジェクトとコラボレーションをしていければと思っています。
TomoChain詳細
公式サイト(日本語):https://tomochain.com/ja/
Twitter:https://twitter.com/TomoChainANN
Telegram:https://t.me/TomoChainChannel
Medium:https://medium.com/tomochain
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCXZ2rmjM84qS80RCj6vQ1gw