分散型リザーブのOlympusDAOはプロトコルが流動性を管理するトークン販売システム(債券)とその収益力のために、様々なチェーン上でフォークプロジェクト(Klima DAO, Wonderland)が誕生している。このほど新たにKUSAMA上のMoonriverチェーンで『RomeDAO』がローンチした。
OlympusDAO
そもそもOlympusDAOは外貨準備のバスケット(ETH、DAI、FRAX、LPトークンなど)を担保に発行される、OHMトークンを中心とする分散型のリザーブカレンシープロトコルだ。OHMはノンペッグ(フリーフロート:自由変動相場制)の通貨であり、トレジャリーの外貨準備高に応じて市場価格を調節するようアルゴリズムが機能する。OHMのフローティングバリューが外貨準備を下回った場合にアルゴリズムが公開市場でOHMを買い戻してバーンし、逆の場合は新たにOHMを発行して売却するなどしている。
彼らの発明は流動性をプロトコルが管理していること。ユーザーはOlympusの債券システムでETH、DAI、FRAX、LPトークンを使ってOHMを購入することで、5日間の保留期間を経て割引価格でOHMを取得できる。こうしてトレジャリーに集まった資金(プロトコルコントロールバリュー(PCV)は現在7億ドル強となっている。この資金はガバナンスに基づいて運用されており2021年3月以来、LPのフィー収益だけで2300万ドルに積み上がっている。
一方、ホルダー側ではOHMをステークすることで「プロトコル収益」と「通貨発行益の90%」を受取る。特に後者は強烈。簡単に言えば、現在価格と1DAIとの差分(現在629ドルであれば628ドル)が通貨発行益となる。この収益は1日3回リベースとして新たにOHMが発行されて分配されるため、OHMステーキングのAPYは7000%強もの高水準を実現。ユーザーにとってステークし続けるインセンティブとなっている。結果、市場に出回るOHMは減少し続け、需要が継続する限り価格とAPYが維持されている。
RomeDAO
RomeDAOは上記のようなOlympusDAOとOHMをPolkadot&Kusama上にもたらすプロジェクトだ。原則としてOlympusDAOは正式には別のプロジェクトを一切サポートしていないが、RomeDAOのコアチームにはOlympusDAOコミュニティの開発者、コミュニティビルダーが参加している。
RomeDAOの特徴はVCによる資金調達がなく、トークンの100%をコミュニティに割り当てていること。これにより、強固なコミュニティ・ガバナンスによって安定的に維持される基軸通貨を目指している。現在、RomeはKusama上のパラチェーンであるMoonriverで稼働しており、ユーザーはMagic Internet Money(MIM)、DAI、ROME/MOVR LP(Solarbeam)の3種類のボンドでROMEを購入できる。チームは今後、PolkadotのMoonbeamへの展開も視野に入れているという。
RomeDAOはOlympusフォークの中でもGameFiのアプローチを採り入れている点でユニークだ。ウェブサイト上のマップ上のフラグをクイックすると、ミニゲームやキャンペーンが開き、クリアするとRomeDAO内で市民としてのアイデンティティを確立するためのNFT(アーマー、武器、戦利品など)を獲得できたりする。
Work continues on the warmap and "Campaign I: Etruscans" spoils of war NFTs.
Before the December 6th start of campaign, the DAO will share an in-depth article on quest requirements for NFTs, warmap progress, and more.
Enjoy some teaser images…
For Rome. (🏛️,🏛️) pic.twitter.com/J4kHgHi6Iv
— RomeDAO (@romedaofinance) December 2, 2021
5日時点のROMEの価格は629ドル、ステーキングAPYは619,200%だ。Polkadot&Kusama経済圏でRomeDAOがどれだけの価値(POV)を積み上げることができるか注目される。