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PoolTogetherとは|損をしない1ドル宝くじ!?当たればみんなの利息を総取り
PoolTogetherとはその名の通り、「一緒に資金をプールしようぜ」という意味合いの分散型アプリケーションです。ざっくりとその機能を説明すると、みんなの資金を元手に貸付を行い、そこで得た利息のみをランダムに選んだ特定の口座に振り込む。つまり、伝統的な金融システムでいうところのPLS口座(賞金付き預金口座)をweb3.0版に変換したDeFi(分散型金融システム)アプリです。
今回はこのPooltogetherの仕組みについてざっくりとご紹介致します。
PoolTogetherの基本コンセプト|No-loss-lottery/損失なし宝くじ
「損失なし」、これが意味するところが何なのかをご説明するためにもう少し具体的に仕組みをご紹介します。まず、PoolTogetherを利用するユーザーは「saving ticket/貯蓄券」と呼ばれる抽選券を「1枚あたり1DAI/またはUSDC」で購入します。DAI/USDCは米ドルとほぼ同じ価値になるので、チケット1枚あたり大凡1ドルと考えて頂くと良いです。
※2019年7月、チケット価格を20DAIから4DAIへ値下げ、その後9月5日にV2移行後に1ドルへ変更。DAI、cDAI、Compoundについては下の記事をご参照ください。
この抽選券は、いつでも誰もが購入することが可能です。ユーザーが投入した資金はプール内に蓄積され、自動でCompoundを利用して貸出されて利息を得る。ここで得られた利息は週毎にランダムに選ばれたETHアドレスに振り込まれます。
※ロックアップ期間はないため、いつでも投入した資金は引き出し可能、抽選毎に資金を再投入する必要はありません。ですので、チケットを購入するというよりも、銀行口座に預金するという感覚に近く、まさにWeb3版PLS口座なのです。
PLS/Prize-Linked Saving Account
PLSとはざっくり翻訳すると「賞金付き預金口座」の意。PLSが社会に与えるインパクトについて述べた学術論文もあるので、興味がある方はぜひ読んでみてください。今回は簡単に概要だけを本記事でご紹介します。
PLS概要
PLS口座をざっくりと解釈するなら、宝くじ付きの預金口座という認識になるかと思います。普通預金口座のように預金することで金利が得られるということはないのですが、その代わりに宝くじのようにランダムに選択された口座に対して賞金が与えられるという預金口座です。
本論文によると、PLSの使用を選択した個人は、平均で年間総収入の1%づつ貯蓄を増やしていると言います。つまり、PLSは、宝くじなので仕組みとしてはギャンブルですが、結果として利用者は1%の節約を行うことができているという面白い結果が出ているということですね。※本論文は2003〜2008年の南アフリカの銀行が提供したミクロデータを分析しており、18ヶ月後には普通預金口座よりもPLS口座の方が多くなり、3年後にはAUM約2億ドルに到達したことを記しています。あくまでも一部の地域の結果でしかありませんが、PLS口座の社会的意義を捉える良い資料かと思います。
PoolTogetherはお得なのか?
お得なのかどうかという点だけを説明しておくと、長期的にはV1のときは「別にお得ではない」ということが言えたのですが、V2以降は長期的にはお得である可能性が高いといえます。
V1はなぜお得ではなかったのか。
Compoundでの貸出利率は年利8~15%あたりであることが多いので、例えば20ドルを9%前後で15日間貸し出したと仮定すると、約0.0739ドルを稼ぐことができます。※あくまで執筆当時の金利率です。Compoundの金利メカニズムについては下記事をご参照ください。
それに対して、上画像の条件(2019年6月25日付)でPoolTogetherを利用すると、利息は0ドルまたは1/1530の確率で115.41ドルを得ることができます。(※チケット購入者の増減により、当選確率も賞金額も変化します。)あくまでも確率で当たるものですので、以下のようにたった一人が得られる115.41ドルをチケット購入者1530人で割ると、一人あたり20ドルで15日間運用して稼ぐ利息がわかります。ざっくり計算すると20ドル当たり約9%運用された数値なので、長期的に見ればCompoundで地道に一人でDAI運用しても、PoolTogetherで運用しても同じくらいの運用成績になります。※あくまでも確率としてですので、現実は必ずしもそうならないこともありますので、悪しからずご了承ください。その意味では「お得ではない」と言えます。
V2以降プールにはユーザーの貯蓄(DAI)+スポンサードDAI
V2以降のプールにはユーザーの貯蓄に加え、スポンサー付きのDAIが加わりました。このスポンサー付きDAIには当選の権利はありませんが、スポンサー付きDAIが獲得した金利はプール賞金の一部に加えられています。これにより、長期的にみると個人でCompoundなどに預けて運用するよりもPoolTogeherに資金を預託しておく方が確率論的には収益が上がるということが言えます。
どのようにして当選者を決めているのか
Pooltogetherの当選の仕組みについてココでは説明します。ポイントとなる点はエントロピーの源泉(ランダム性)、当選者決定アルゴリズム(Winner selection algorithm/如何に公平にユーザーから当選者を決定するか)の2点。以下この点について説明していきます。
エントロピーの源泉
Pooltogether v2では、当選者が公開される前に管理者によってシークレットランダムナンバーが生成されます。※当選者公開後、管理者がデータが改ざんされないようにそのランダムナンバーにフィンガープリント(ハッシュ値)を含めます。
その後、管理者が当選資格のあるデポジットをロックし、当選者に賞金を与えるためにスマートコントラクトで公開されたランダムナンバーがフィンガープリントと一致しているかを確認し、当選者を決定します。
このように本プロセスには、管理者によるいくつかの操作が含まれており、その点については今後のバージョンで改善していく意向を示しています。
当選者決定アルゴリズム
ココで重要なポイントは、各チケットが公平な当選確率を保持しているかどうかです。つまり、当選確率はデポジット額に比例しているかどうかということです。
上記要件を満たすためにPooltogetherでは、ランダムナンバーをトークンインデックスとして扱い、スマートコントラクトで預金を再構成しています。具体的にいうと、例えばAさんが800DAIデポジット、Bさんが200DAIデポジットしていると仮定した場合、Aさんは1〜800のチケットトークンを保有し、Bさんは801〜1000のチケットトークンを保有しているというようなイメージです。スマートコントラクトがAさん、Bさんが『特定の範囲』のトークンを所有するように預金を構成しなおしているということです。
このようにランダムナンバーを総供給量のインデックスとして扱えるように構成し直すことで、例えば当選番号が624であった場合はAさんが当選、803であった場合はBさんが当選という具合に、公平に当選者を決定することができるようになっています。
Pool Togetherの使い方
Pool Togetherにて用意されている賞金プールはDAI/USDCプールの2種類※2020.2.5現在
上画面のように①アカウント(Account)タブを開き、画面下方にあるDAIまたはUSDC右側に表示されている②「Join Pool」から各々のプールチケット購入画面へ移行することができます。
Pool Togetherで貯蓄チケット(saving ticket)を購入するまでの流れをご案内↓
Pool Together詳細
- 公式サイト:https://www.pooltogether.us/faq
- 公式Twitter:https://twitter.com/PoolTogether_
- Github:https://github.com/pooltogether
- 監査結果(セキュリティ):https://www.pooltogether.us/audits