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Enjin Coin(エンジンコイン/ENJ)の特徴・詳細|ゲームコミュニティを支える次世代プラットフォーム
Enjin Coinはゲームコミュニティプラットフォームを運営するENJINが作ったERC20準拠の仮想通貨で、単位はENJです。ゲームを取り巻く環境での利用を目的としたコインです。
日本語では同じ発音になるEngine(Engine Token)とは別物です。同じERC20なので間違えない様に注意が必要ですね。Enjinで検索すると日本のBengoshi CoinというERC223準拠のものも引っかかりますがこちらも違います。Bengoshi CoinのEnjinは「円陣」の意味みたいですが、Enjin CoinのEnjinはゲーム制作会社のGaijinに倣ったのでしょうか。
Enjin Coin(エンジンコイン/ENJ)の最新価格・相場・チャート・評価
Enjin Coin(エンジンコイン/ENJ)の特徴
ENJIN
ENJINはシンガポールに拠点を置く2009年に作られた会社です。
2017年の時点でENJINのプラットフォーム上には様々なゲームに対する25万を超えるコミュニティが既にありました。当時の登録者数は1800万人、月間の閲覧回数は6000万回を超える程でした。この段階でEnjin上のコミュニティのストアでは月に百万ドル単位のアイテムが取引されていました。
こんな大規模なゲームを扱うプラットフォームを運営している会社が作る仮想通貨ですから、Enjin Coinも当然ゲームに特化しています。
Enjin Coinの目的
Enjin Coinはゲームの制作やその管理の目的で製作者だけでなくユーザーやコミュニティの利用が想定されており、それらの活動を活性化することを目的として設計されています。
具体的には
- バーチャル空間での所有権の再定義
- ユーザーが積極的に参加しやすい環境づくり
- 運営の負担軽減
などを通してENJINは目的を達成しようとしています。
Enjin Coinは2017年8月28日にプレICOが開始され、2017年10月3日から同31日の期間でICOが行われました。
特徴1:バーチャル空間での所有権を再定義
コミュニティを活性化する手段の一つが、ゲームコンテンツの管理権をユーザーに渡すことです。
一般的に、ゲーム内のアイテムや通貨は製作者側に権利があり、それらは限定的な領域でしか利用できません。
そして運営がゲームコンテンツのすべての権利の帰属主体になるような形式では、いくらゲームでアイテムを獲得したりキャラクターのパラメーターを上げたとしてもユーザーは不安定な状況に置かれています。
例えばゲーム内のアイテムが消されたり、キャラクターのパラメーターが調整されるなど運営の恣意的な操作によりそれまでのユーザーの努力が水泡に帰すことが考えられます。
このようなコンテツの帰属をユーザー側に移すことで、ユーザーが安心してゲームに没頭できる環境を作り上げようとしています。
特徴2:コンテンツに流動性を持たせる
コンテンツの取引
これに関連して、ユーザー間でのゲーム内アイテムの取引環境を整備しコンテンツに流動性を持たせることでコミュニティの活動を活性化しようということも行われています。
これまでもゲーム内アイテムの取引は行われてきました。しかし、第三者が介在する取引の場合は手数料が高額であったり、処理が遅いなどの問題がありました。また、ユーザー間での第三者を介在させない取引の場合は詐欺などが横行しています。
ENJINによると、1個のアイテムが正当に取引される間に7.5個のアイテムが詐欺などによって消えているそうです。これは結構な比率だと思うのですが、実際にユーザー間の直接的な取引はSNS上などでも頻繁に行われており、支払いを行ったのにアイテムが移転されない(またはその逆)といった書き込みは簡単に探すことができます。そしてこういった不正な取引はゲームタイトルの評判を落とす原因にもなり得るので運営側にとっても非常に困った問題でした。
この取引の透明性を高め、アイテムの移転を確実にするためブロックチェーン技術を利用しようというのです。ユーザーにとっては安価な手数料を支払うことで確実で迅速な取引を行えるようになり、運営側は詐欺対策費などコンテンツを保護するための出費を抑えることができます。
開発面での負担
この流動性が後回しで考えられてきたのは、実際にユーザー間で取引できるような機能を開発するのが負担になることも原因でした。
そのためENJINはこういった負担が軽減されるような機能の開発も行っており、運営だけでなくコミュニティ単位でもEnjin Coinを親として独自のアイテムやゲーム内通貨、特権などをトークン化することができるようになっています。
この形式で作られたものは所有者ならだれでも作られた当時の変換レートでEnjin Coinに変換することが可能になっており価値がEnjin Coinで保証されています。
このトークン化にはスマートコントラクトの特性が利用できるのでアイテムに期間の条件を付与することも可能です。例えば期間を限定したステータスの向上や、サービスのアンロックなどが考えられ、それらを定期購読の様にユーザーが購入することも可能になります。
また、これらのアイテムはコミュニティへの参加やフォーラムへの投稿を促すインセンティブとして使うこともできます。
特徴3:プラットフォーム内での流動性
ENJINは更にゲーム間でのアイテムの移転なども考えています。
ゲームタイトルに縛られないゲーム内通貨やアイテムがもたらす影響は計り知れないと思います。Aのゲームにかけた時間がBのゲームでも評価される、ゲームをやる方なら一度は考えたことのある世界が実現されるのです。
SDK
ENJINではJava・C#・C++・iOS Swift・Android C#など多言語対応のオープンソースSDKが提供されます。
PaaS(Platform as a Service)として、開発者がブロックチェーンの構築や維持に関するコードを書かずにブロックチェーンゲームの開発に専念できる環境も整えようとしています。
ゲームエンジンであるUnity向けのSDKも用意されており、Unity Asset Storeでの入手も可能です。
Enjin Wallet
ENJINはEnjin Walletという独自のウォレット開発にも力を入れています。
通常のウォレットの様にトークンの保管だけでなく、Enjinのプラットフォームで利用できるコレクティブルズも管理することができるなど、多機能です。
ウォレットアプリ内でトークンスワップも可能です。この機能はKyber Network、Changelly、BancorといったDEXと統合されており、交換可能なトークンの数は約200もあります。
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EnjinX
EnjinXはENJINが開発するブロックチェーンエクスプローラーです。
ブロックチェーンエクスプローラーとしてはEtherscanが有名ですが、同様のことがこのEnjinXでも行えます。
また、UIも分かりやすく、使った感じでは動作が軽快だと感じました。
Enjin Coin(エンジンコイン/ENJ)の詳細
発行上限枚数:10億ENJ
形式:ERC20準拠
公開日:2017年10月
公式サイト:https://enjincoin.io/
公式ブログ:https://blog.enjincoin.io/
Enjinを利用したブロックチェーンゲーム/その他事例
9Lives Arena/9ライブスアリーナ〜家庭用ゲーム機にも対応予定のハイクオリティアクションRPG〜
CryptoFights/クリプトファイト〜3D PvP対戦ゲーム〜
Forest Knight/フォレストナイト〜ストラテジーRPG〜
Forgotten Artifacts〜ダンジョンRPG〜
Makerverse/メーカーバース
dyverse/ダイバース
Kingdom Karnage〜ENJINマルチバースシステム採用のトレーディングカードゲーム〜
Enjin Coin(エンジンコイン/ENJ)の評価
ゲームへ参加し貢献することが現実社会においても価値を生む世界を実現させようとするEnjin Coinは非常に面白いと思います。ゲーム関連のコミュニティ全体を活性化するため、eSportsなどへの寄付としてもEnjin Coinが利用できるようになるというのも凄いです。
ユーザーがアイテムなど取引したいものを効率よく探せるように、Enjin Xと呼ばれるブロックチェーンエクスプローラも開発されておりリリースも迫ってきている感じです。(EnjinXは既にリリースされており、利用が可能です。)
ENJINの試みに賛同するゲーマーは多いと思うので、期待したいプラットフォームですね。
2019年のEnjin
2019年のQ2(第2四半期)はEnjinプラットフォームのメインネットローンチ関連の開発に最も注力するとしています。