IRON Financeは$IRONというステーブルコインを発行するプロジェクトです。
USDT/BUSDと独自のトークン(TITAN/STEEL)を一定の比率で担保にすることで、ステーブルコイン$IRON が発行されます。
ローンチから時間が経っていますが、IRONは価格をしっかりと維持しているように見受けられます。
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特徴的なのがステーブルコインのペアにも関わらず高いAPRを出しているところです。IRON Financeにステーブルコイン(USDC/IRON)をファーミングすることで、500%越えという驚異的なAPRを見せています。
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また先日Twitter上でIRON FinanceのTVLが10億ドルを突破したことも明らかになりました。
$1,000,000,000 TVL
We thank our community, users and partners for this amazing achievement.$iron $titan $steel pic.twitter.com/e0XfzVAa2H
— IRON Finance (@IronFinance) June 11, 2021
この記事では
- IRON Financeのこれまでの流れ
- IRON Financeの仕組み
- IRON Financeの始め方(Zapper利用)
を解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
IRON Financeの背景
2020年の夏はDeFiが大いに盛り上がった時期でした。今年に入っても NFTやDeFiは引き続き注目の的です。その中でDeFiの基盤として重要な役割を果たすのがステーブルコインです。
ステーブルコインには一般的に3つの種類があるとされています。
それが法定通貨担保型、仮想通貨担保型、アルゴリズム型(無担保型)です。
法定通貨担保型として有名なのはUSDTでしょうか。問題として政府の介入を受ける可能性があり、分散化されているとは言えないところがあります。
次に仮想通貨担保型で有名なのはDAIです。DAIは今でも重要な役割を果たしていますが、課題は担保を多めに必要とすることです。
例えば、ユーザーが100DAIを発行したい場合には、CDP契約にイーサリアムで150ドル相当が必要になります。
そこで注目を集めているのが、アルゴリズム型、つまりスマートコントラクトやアルゴリズムで価格を安定させるステーブルコインです。
今までいくつかのプロジェクトがアルゴリズム型のステーブルコインを発行してきましたが、ボラティリティに効率的に反応できず、多くのアルゴリズム型は1ドルから乖離しました。
これらの課題を解決するために、EthereumのFRAXに触発されて、部分担保型ステーブルコイン$IRONが開発されています。
IRON Finance:プロジェクトの歴史
IRON Financeはずっと順調にきたプロジェクトではなく、さまざまな困難を乗り越えてきました。
- 2021年3月4日:BSC上でリリース
- 2021年3月16日:
ValueDeFiでエラーが発生し、$SIL(当時のトークン)に問題が起きたため、$SILに変わるトークンとして$STEELを発行。
(2021年5月28日までに全ての$SILユーザーに保証) - 2021年5月8日:
ValueDeFiがハッカーに襲われ、$STEELが盗まれる。それ以降はValueDeFiを使用せず、PancakeSwapへ。 - 2021年5月18日:Polygonネットワークに拡大
- 2021年6月12日:TVLが10億ドルを突破
ステーブルコイン$IRON の仕組みとは?
$IRONはアルゴリズム型ステーブルコインです。
- BSCでは$BUSD+$STEEL
- Polygonでは$USDC+$TITAN
を組み合わせて発行されます。
具体例)
IRONを発行する際には、USDC+TITANで1ドル相当になるようにします。そして、合成されたTITANはバーンされる仕組みです。
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逆に償還(Redeem)するときは、IRONを1ドル相当のUSDC+TITANになります。
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裁定取引で価格の安定性を保つ
ではIRONはどのように価値を安定させているのでしょうか?
端的にいうと、IRONが1ドルから乖離した場合に裁定取引の機会が生じて、価格が1ドルに戻るよう工夫されています。
IRON>1$の場合は、プロトコルを使って約1USドル相当の価値でIRON トークンを生成し、売却することがで利益を得られます。
一方で、IRON<1$の場合は公開市場でIRONトークンを購入し、約1米ドル相当のUSDC+TITANに交換することで利益を得られます。
IRON Financeの指標: TCRと ECR
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この$IRONを発行する際のUSDCの比率をTarget Collateral Ratio (TCR)と言います。
例えば画像のTCRは74%なので、IRONを発行する際にUSDC(74%)+TITAN(26%)を合成することになります。
またEffective Collateral Ratio (ECR)というものもあり、こちらはプロジェクト全体の担保の割合です。
USDCの運用
また担保として保有されるUSDCはAAVEで運用されており、その利益の一部はTITANトークン単品のステーキング報酬としてユーザーにわたります。
こちらの昨日はPolygonでしか実装されておらず、まだBSC版にはない機能です。
詳しくはIRON Financeの資料もあわせてご覧ください。
IRON Financeの始め方
今回はZapperというDeFi一元管理ダッシュボードを利用して、IRON Financeでファーミングをしました。
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ZapperとはEthereum→BSC、Polygonへトークンをブリッジできる上に、Zapper上でSushiswapやUniswapに流動性供給することができます。
今回筆者の利用した流れとは下記の通りです。
- MetaMaskにETHを入れる
- MetaMaskにPolygonネットワークを追加
- MetaMaskをZapperにつなぐ
- Zapper上でETH(Ethereum)をMATIC(Ethereum)へ
- MATIC(ERC)を MATIC(Polygon)へブリッジ
- SushiSwapのUSDC/IRONに流動性供給
- USDC/IRONのLPトークンをIRON Financeにデポジット
1.MetaMaskにETHを入れる
MetaMaskにETHを入れるには国内取引所からMetaMaskのアドレスにETHを送金するだけです。送るときはアドレスを間違えないようにだけ注意してください。
2.MetaMaskにPolygonネットワークを追加
アプリの上部にあるネットワーク選択ボタンをクリックします。
「カスタムRPC」をクリックすると、MaticネットワークのカスタムRPCを設定する画面が表示されるので、Maticメインネットの詳細を入力してください。
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- Network Name: Matic Mainnet
- New RPC URL: https://rpc-mainnet.maticvigil.com/
- Chain ID: 137
- Symbol: MATIC
- Block Explorer URL: https://explorer.matic.network/
3.MetaMaskをZapperにつなぐ
Zapperの公式サイトに入り、MetaMaskを接続します。
・Connect Walletをクリック
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・「MetaMask」を選択して、接続
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・ダッシュボードに入ります
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4.Zapper上でETH(Ethereum)をMATIC(Ethereum)へ
「Exchange」をクリックして、ETH(Ethereum)→MATIC(Ethereum)へ
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5. MATIC(Ethereum)をMATIC(Polygon)へ
画面左側の「Bridge」をクリックして、MATICトークンをPolygonへ移行します。
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6.MATIC(Polygon)をSushiSwapのUSDC/IRONに流動性供給
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画面左の「Pool」をクリックすると SushiswapとQuickSwapに流動性供給できるページに入ります。
初めて利用する場合はApproveというトークンの承認作業が必要ですので、それをやってから流動性供給をしましょう。
今回はMATIC(Polygon)をUSDC/IRONペアでSushiSwapに流動性供給します。
Zapperは1回で流動性供給ができるので非常に便利です。
例えば1ETHをUSDC/IRONペアで流動性供給したい場合は、手動で
- 0.5ETH→USDC
- 0.5ETH→IRON
に交換してから、流動性供給する必要がありました。
それがワンクリックで済むのですから、便利だと思っています。
7.USDC/IRONのLPトークンをIRON Financeにデポジット
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最後にIRON Financeに入り、 「Farm」でSushiSwapのUSDC/IRONを選択して、Depositすれば完了です。
お疲れ様でした。
現状では日利1%ほどなので、他のDeFiプロジェクトに比べてかなり高いと言えるでしょう。またステーブルコインペアなので比較的安全性も高いといえます。
しかしIRON Financeにはリスクもありますので、利用する際は各自の判断でお願いします。
※補足
BSCからMaticに資産を移したい場合は、現状いくつか選択肢があります。
筆者はBSC→ETH→MATICという経路を取りました。
具体的には
- BSCのトークンを全てUSDC(BEP20)に
- USDC(BEP20)をSafepalでUSDC(Ethereum)に
- USDC(Ethereum)をZapperでUSDC(Polygon)に
という流れで資金移動しました。
IRON Finance詳細
公式サイト:https://iron.finance/
ドキュメント:https://docs.iron.finance/
Twitter:https://twitter.com/IronFinance